その光景は今でも鮮やかに憶えてる。
「―俺の名は――山姥切国広」
「っ……」
「どうかしたか?」
私の顔を覗きこむ彼に……私は……。
「き、綺麗ですね」
初めまして でも
よろしくお願いします でもなく
そんな言葉が先に出た。
「綺麗とか、言うな」
「……っ」
困ったように……でも怒ってるわけではない彼の顔を見て……私はまた 綺麗 だと思ってしまった。
それが私にとって――彼、山姥切国広との出会い。
「――おい、そんなところで寝てると風邪を引くぞ」
「……あ……あれ?」
気がつけば……何故か私を見下ろしている国広さんがいて……。
ぼんやりした頭で今の状況を確認すると……私はどうやら縁側で眠っていたらしい。
今見ていたのは……夢?
国広さんと出会った時の――。
……ちらりと国広さんを見ると……やっぱり。
「国広さん国広さんっ」
「……何だ」
「やっぱり、綺麗 ですね。国広さんは」
「だから……綺麗とか言うな」
何度でも綺麗だと思ってしまうんだ。