乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
笹百合イベント後。アシュヴィンの言葉が忘れられない千尋は…。
「もう……会わないほうがいいのかもしれんな」
「え……?」
アシュヴィンと笹百合を見て、天鳥船に送ってもらう。
その時の言葉だった。
千尋はその夜、眠る事が出来ない。
「何で……、アシュヴィンはあんなことを言ったんだろう……」
千尋に百合を挿すアシュヴィンの顔は、優しかった。
敵の皇子があんな風に接するだろうか?
それに。
『出来れば、戦場で死ぬ姿を見たくはない』
そう、彼は千尋に言った。
敵である千尋に。
「何で……」
千尋もまた、戦場では会いたくはない。
戦って、血を流す姿は見たくない。
「こんなこと、誰にも言えないな」
軍の将である千尋が言う言葉ではない。
言ってはいけない言葉だ。
「忘れなくちゃ……。アシュヴィンのことを。彼は、敵、なんだから」
そう口にするが、目を閉じればアシュヴィンの姿ばかり浮かぶ。
「………っ」
(私の感情は消さなきゃ……)
―――何で、私ががアシュヴィンのことばかり考えているんだろう?
―――何で、彼のことが、頭から離れないんだろう?
その問いに答える者はなく、代わりに千尋の目から涙が溢れる。
―――何で、私は泣いているの?
その答えは、わからないまま。
―――この涙もこの想いも、明日にはなくすから……。
―――だから…………今だけ。
―――今だけ………泣かせて。
千尋は願う。
その空には、星が瞬いていた。
紅く光る、一つの星が………。
それから…………。
アシュヴィンと再会した場所が、戦場である事を………。
千尋はまだ知らなかった。
~fin~
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文月まこと
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乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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