乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
「その想いの果てに」の続き。千尋サイド。
―――結局、何もわかっていなかった。
「……はぁ…」
夜も更けた頃…。
千尋は1人、ベッドの上で息を吐いた。
先程までは、アシュヴィンと一緒にいた。
今まで忙しくて会えずにいた、アシュヴィンに会いに行った。
けれど……。
会う事は出来た。
だが、すぐに部屋に戻されてしまった。
『こんな夜遅くに訪ねて来るなんて、何されても文句は言えない』
そう、アシュヴィンが千尋に言った。
その事が千尋の頭から離れずにいる。
今まで考えなかった訳ではない。
アシュヴィンが千尋に望んでいる事。
求めている事。
実際、夫婦なのだからあって当然なのだ。
だが、アシュヴィンはそれをしなかった。
アシュヴィンは大人で、優しいからだ。
千尋は、子供でわかっていなかった。
「やっぱり、子供だ……。私…」
その事実に千尋は泣きたくなった。
―――アシュヴィンは、いつも私を気にかけてくれる。
結婚したばかりの頃、すれ違っていた時。
部屋にこもった千尋に、アシュヴィンはこう言った。
『俺は、いつもお前のことを考える』
その言葉通りに、アシュヴィンは千尋の事を大切に扱っていた。
それはとても、優しく。
甘い言葉も仕草も全て。
それに引き換え、千尋はアシュヴィンの望むものを何一つ返せていない気がした。
「私は、どうなの?ちゃんと……アシュヴィンに応えたいと思ってる?」
――アシュヴィンの事は、好き。
初めて会った時から、惹かれていた気がする。
その答えにたどり着くまでに時間がかかったけれど。
アシュヴィンの言葉に、笑顔にドキドキして…。
触れてくれるだけで、嬉しいと思う。
そうされると、ますますアシュヴィンが好きになって……。
「でも……怖いのかな」
それは千尋にとっては、未知の体験だ。
怖いし、どうしていいかわからない。
けれど…。
「それじゃ、ダメなんだ!!」
千尋は再び部屋を出て、アシュヴィンの部屋へと向かった。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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