乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
天岩戸イベント前。千尋がいないこと知ったアシュヴィンは…。
「千尋がいない?」
「はい…。昼間は見かけたんですが…」
夜遅くなってから、アシュヴィンは幽宮に戻ってきた。
リブの報告では千尋が、宮にいないという話だ。
「あいつ、どこに行ったんだ?」
(まさか、豊葦原に帰ったとか?)
先日、婚姻関係を結んだばかりだ。
それはないとは思うが、元々は政略結婚だ。
千尋自身、それを望んでいなかった事は知っている。
だが、王族としての務めとして受け入れていた筈なのに…。
「逃げ出したか」
思わず、そんな言葉がアシュヴィンから漏れる。
それと同時に、苛立つ自分に気がつく。
千尋がいないことでの、焦りと苛立ち。
そんな感情がアシュヴィンの中で、騒いでいる。
「や、それはないと思いますよ」
「何?」
「実は、殿下が小競り合いに巻き込まれたかもしれない、という話をしまして……」
リブから聞いたのは意外な話だった。
「姫はそれを大層心配されてました」
「千尋が?」
「はい。だから殿下を探しに行ったのかもしれません」
「いや……でもな」
一瞬、喜んだ自分がいる。
―――しかし、千尋が自分のために、そこまでするだろうか?
「まあ、いい。しばらくして戻らないようなら、探してくれ」
「わかりました」
アシュヴィンはリブを下がらせ、自室へ戻る。
庭からよく見知った声が、聞こえてきた。
「ありがとう。遠夜」
それは千尋の声。
だが、その口からは別の男の名を呼んでいる。
それは、先ほど芽生えた感情が更に膨れ上がっていた。
「夜歩きとは…大層な趣味をお持ちで」
不意に出た言葉は、そんな皮肉からだった。
「アシュヴィン……」
千尋に近づいていくと、千尋はすごい驚いている。
他の男に会っている所を、一応夫であるアシュヴィンに見つかったからだ。
そんな事を、考えてしまう。
だが、そんな考えもすぐに消えた。
「無事だったんだ……」
そう言いながら、千尋はボロボロと泣き出す。
泣いたかと思えば、今度は自分の部屋と戻っていく。
「何なんだ……。あいつは」
走った千尋の背中を、アシュヴィンは呆れながら見つめる。
そんな中不意に、先程のリブの言葉が過ぎった。
『殿下が小競り合いに巻き込まれたかもしれない、という話をしまして……
姫はそれを大層心配されてました』
『無事だったんだ……』
「!!」
その言葉と千尋の涙が、同時に浮かぶ。
千尋は、アシュヴィンの事を心配していた。
そしてアシュヴィンの事を今まで探していて、姿を見つけた時に安堵して泣き出した。
「俺は……あいつに心配されてたのか…?」
その事実に、アシュヴィンは酷く落胆した。
心配してくれた千尋を傷つけた。
他ならぬ自分が。
「くそっ…!!」
アシュヴィンは、すぐに千尋を追いかけていた。
千尋は、千尋なりにアシュヴィンを想っていた。
だが、アシュヴィンは千尋を想うどころか傷つけてしまった。
その事を深く後悔し、千尋の元へと急いでいた。
(俺はあいつに……笑っていてほしいのに…)
閉ざされてた天岩戸は、何とかして開かれた。
だが、その目はやはり赤かった。
それでも千尋はアシュヴィンに笑いかける。
「約束、必ず守ってね」
「ああ」
(参った……な。これは)
良くも悪くも、目の前の少女に振り回されている。
そしてそんな自分が、嫌ではない。
「…お休みなさい」
「お休み」
そしてその言葉がずっと聞くことが出来ればいいのに ……。
だが今は……あの笑顔を守る事だけを考えよう…。。
そんな事を考えながら、アシュヴィンは部屋へと戻った。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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