乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
結婚イベント前。千尋が風早といるのを目撃したアシュヴィンは…。
それは結婚数日前のことだった。
常世の皇子と中ツ国の二ノ姫が結婚するという話題は、瞬く間に広がっていく。
その中には祝福をする者。
その身を案じる者。
企もうとする者。
様々だった。
そんな周囲の中、千尋は浮かない顔をしていた。
心が定まらないまま、結婚の日は近づいていく……。
そして今日も一日が終わろうとしている……。
「もうすぐ……か」
一日が終わる度、結婚の日が近づいていく。
それが千尋の心を重くしていった……。
(結局……。私はこのままでいいんだろうか?)
―――流されて、結婚して……。
それで本当に、正しいのだろうか…?
そんな事をぼんやりと考えていると、ある人物が近づいてきた。
「千尋」
「あ、風早」
「大丈夫ですか?」
心配性な風早の事だ。
きっと、結婚の事を言ってるのだと千尋にはわかった。
「うん、大丈夫」
本当は全く大丈夫ではない。
しかし、これ以上心配させる訳にはいかなかった。
「千尋が全部、背負うわなくてもいいんですよ」
「風早……」
その言葉に千尋は縋りたくなってしまう。
けど……。
「ううん……。確かに不安はあるよ…。でも…」
『俺は常世を変える』
そう言ったアシュヴィンの目が、千尋の脳裏によぎった。
あの笹百合で交わした言葉を、千尋は信じたいと思ったのだ。
アシュヴィンの事を、もっとよく知りたいと思った。
「だから、大丈夫だよ」
そう風早に笑いかけた。
それは嘘でも作り笑いでもない、真実の微笑み。
「そうですか……。なら大丈夫ですね」
風早もそれ以上、その話には触れなかった。
(ん……。あれは…千尋と風早か)
アシュヴィンが偶然に見たもの。
それは千尋と風早の姿だった。
2人は何やら楽しそうに、会話をしている。
(そういえば……。あまり、千尋が笑った顔を見たことがなかったな)
それも無理もない話だった。
少し前までは敵同士だったし、話す機会もそうなかった。
出会いからして、戦だ。
自分が気に入った女の笑顔を、見たことがないのは不思議でしかない。
だが……。
「あの2人は特別な雰囲気を感じる」
元々、2人はずっと一緒にいたらしい。
だから当然なのかもしれないが……。
「本当は想いあってるのかもな」
身分差からどうにも出来ないだけであって、本当は……。
思えば出会いからして、そうだった。
アシュヴィンと対峙した風早の元に現れたのは、千尋だった……。
敵であるアシュヴィンに対しても怯むことなく、風早を助けようとしていた。
(馬鹿馬鹿しい……)
どちらにせよ、千尋はもうすぐ自分の物になる。
一応形だけは。
「俺が欲しい物は、そんな物じゃないのにな」
「…何が?」
「!!」
アシュヴィンの元に現れたのは、今考えていた人物だった。
「いつからそこに……」
「え?ほんの今だよ。何だかアシュヴィンが考えてるみたいだったから……何かあったのかと」
「…………………」
つい先ほど、考えていたのが漏れていたらしい。
不思議そうに見つめる千尋を、アシュヴィンは平静を装う。
「別に何でもない」
「えーー。何か欲しい物でもあるんでしょ?」
「………………………」
それが目の前にあると言ったら、どんな反応をするのか……。
実際は言う訳にはいかず、咄嗟に誤魔化した。
「どうやらお前、結婚に乗り気じゃないらしいな」
「!!」
一瞬、千尋の顔が強張った。
「お前、他に好きな奴でもいるんじゃないのか?例えば風早とか」
肯定されたら自分はいったいどうするのか……。
だが千尋は間抜けな顔をしている。
「へ?風早。まさか、それはないよ」
あっさり否定した千尋は、相当鈍いのか……。
少なくとも風早は想っている筈なのに…。
「ほーーー。それなのにまだ悩んでいたのか」
「仕方ないでしょ。結婚なんて一生のものなんだし」
「いい加減諦めろ。むしろ俺の妻になることをもっと喜んだらどうだ」
「もーー。あのねーー」
千尋は、アシュヴィンがあっさりと言うのが不満らしい。
「まあ、この結婚でもどうなるかわからないが……」
どんな勢力をつけても、あの敵に勝つ事が出来なければ一緒だった。
皇を討つ日が本当に来るのだろうか……。
そんな不安がアシュヴィンの心によぎった。
「大丈夫だよ」
暗い気持ちに差し込んだのは、一筋の光。
「私たちがいれば、きっといい方向に行く。…ううん、いい方向にするのよ!!」
千尋は強い眼差しで、力強く言い放つ。
その眼差しは、アシュヴィンが惹かれてやまないものだ。
「くっ……。そうだな」
「ちょ……。何で笑うのよ!!」
せっかく真剣に言ったのに、アシュヴィンが吹き出していた。
そんなアシュヴィンに千尋はむくれる。
「もーー。そんなに笑わないでよ」
千尋の言葉は、アシュヴィンの中にあったものを次々と消していく。
嫉妬、不安、恐怖。
「何とかなる…か」
「そうだよ!!」
優しく笑う千尋につられて、アシュヴィンも笑っていた。
「俺は全てを手に入れる」
そう決意しながら、アシュヴィンは見つめていた。
千尋のことを…。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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