乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
「咲き乱れた花になる」の直後のお話。アシュヴィンから逃げる千尋は…。
――今まで知らなかった感覚……。
それを知った時、私はどうしていいかわからなかった……。
その日は、朝から皇が駆け足で移動していた。
アシュヴィンが1人の采女に声をかける。
「おい、千尋知らないか?」
「いえ……先程は見かけたんですが……」
「あいつ、どこに行ったんだ…」
「多分、遠くには出かけてないとは思うんですが……」
「わかった」
アシュヴィンはそのまま再び、歩き出した。
(朝からどこに行ったんだ)
アシュヴィンは朝からずっと、千尋を探し続けていた。
一度も見かける事はなく、采女たちも知らないほどだった。
それがアシュヴィンには気にかかっていた。
「はぁーーー」
一方の千尋は、近くの野原で横になっていた。
「私……、何やってるんだろ」
千尋は朝から宮を抜け出してきた。
それは心は静まることなく、落ち込んでいた。
「でも……、アシュヴィンと顔を合わせられない……」
特にアシュヴィンと喧嘩をした訳ではない。
ただ一方的に、千尋がアシュヴィンから逃げているのだ。
「…どうしよう……」
千尋は大きく息を吐いた。
あの日から、千尋は自分が冷静でいられなくなった……。
アシュヴィンと会えば動揺して、どうしていいかわからなくなる。
恥ずかしくて、逃げ出したくなる。
「…馬鹿みたい。私…」
―――アシュヴィンに心配をかけて、それでも何も出来なくて……。
「ほんとにな」
「!!」
千尋の思考を遮ったのは、今考えていた相手だった。
その声に応じて、千尋は身体を起こす。
千尋が起きた先には、アシュヴィンがいた。
「あ……アシュヴィン…」
「全く探したぞ。誰にも言わず1人で出かけるとは……」
千尋に近づいてくるアシュヴィンに、千尋は反射的に後ろへと下がる。
「何故逃げる?」
「逃げてなんか…」
「嘘つけ。お前、朝からずっと俺から逃げてるだろう」
「…っ!!」
千尋はアシュヴィンの言葉に黙ってしまう。
それは『肯定』と同じ意味だった。
「千尋……。どうした?何故俺を避ける」
「それは……」
「結構、俺はお前に逃げられると堪えるんだが……」
「……」
気がつけば、アシュヴィンは千尋の目の前まで来ていた。
千尋は逃げずに固まっている。
「俺が何かしたのなら詫びるから、理由を聞かせてもらえないか…?」
どこまでも優しいアシュヴィンの声。
その心地よさに千尋は、甘えたくなる。
「それとも……この間の事を怒ってるのか?」
「!!」
その言葉に千尋は覚醒し、顔が紅くなる。
アシュヴィンはそんな千尋の様子から、逃げた理由がこれだと思った。
「無理をさせたのは……悪かったが……。それとも嫌になったのか?」
「……」
「俺に抱かれるのは」
「!!」
アシュヴィンの言葉に、千尋は何も言えなくなる。
だが、それはどうしても伝えなくてはならない。
千尋は小さい声で、アシュヴィンに訴える。
「ちが……違うの…」
「なら…何だ?」
アシュヴィンは優しい声で、再び語りかけてくる。
千尋が言うまで、何時まででも待つつもりだろう。
それが千尋には、よくわかった。
「は……」
「は?」
「恥ずかしかったの……。あれからアシュヴィンと会うと、どうしていいかわからなくなって……」
――あの日、アシュヴィンに触れられた夜。
アシュヴィンの優しさが、とても嬉しかった。
幸せだと思った。
けど、アシュヴィンによって翻弄される自分は、今まで知らなかった感覚。
そんな自分を知って、アシュヴィンに嫌われるかと思った。
それと同時に、恥ずかしくて仕方がなかった。
アシュヴィンを知って、前よりも好きになっていたから……。
「恥ずかしくてどうしていいかわからなくて……。アシュヴィンに会うと、冷静になれなかったの」
「…………………」
千尋の言葉にアシュヴィンは……。
「くっ……!!」
「なっ!!」
アシュヴィンは急に笑い出した。
「何で笑うの!!」
「いや……。俺はてっきりお前に嫌われたかと思ってさ。だが……」
「!!」
アシュヴィンは千尋を引き寄せ、自分の腕の中へと導いていく。
「その言葉は、俺への愛の告白として受け取ってもいいのだろう?」
「…なっ!!」
「だってそうだろう?俺と会って冷静になれないのは、俺の事が好きだという証だ」
「!!」
「違うのか?千尋」
「違わない……」
アシュヴィンの余裕の笑みが今の千尋には、憎くて仕方がない。
千尋は恨みがましく、アシュヴィンを見つめる。
「お前が嫌なら、俺も触れるのはやめる。また、逃げられてはかなわないからな」
「……」
「千尋」
アシュヴィンはずるいと思った。。
いつもそうやって、千尋に逃げ道を作ってくれる。
悪いのは逃げていた千尋の筈なのに、それを責めずに優しく問いかけてくる。
その優しさが、千尋には嬉しい。
「やめないで…。アシュヴィン……、もっと触れて?」
「ああ。そうさせてもらう」
アシュヴィンはその言葉通りに、千尋に口付けていた。
「俺はお前がいないと、仕事も出来ないらしい」
「!!」
「覚悟しろよ。千尋」
「え……ええ?」
アシュヴィンの言葉に、千尋は戸惑うしかなかった。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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