忍者ブログ
乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
2024/05月
≪04月  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  06月≫
[53] [52] [51] [50] [49] [48] [47] [46] [45] [44] [43
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ED後。ある夜、千尋が思う事は…。




それは暑い日の夜。

千尋はぼんやりと窓の外を眺めていた。

「何か、面白いものでもあるのか?」

「アシュヴィン……」

そんな妻の様子にいち早く気づくのは、夫であるアシュヴィンだ。

「うーーーん。ちょっと思い出しちゃって」

「何をだ」

「向こうにいた世界の事」

「向こうの……?」

千尋に以前に聞いていた話がある。

千尋が5年もの間、豊葦原とは違う別の世界にいたことを。

「うん……。こういう暑い時期のある日の夜にお話があってね」

「ほう……」

千尋の話に、アシュヴィンも耳を傾ける。

「年に1度だけ、会う事を許された恋人同士のお話」

「1度?何でだ」

「えーーと。織姫のお父さんに離れ離れにされて、好きな人に会う事を禁止されたの。
でも1年の決まった日の夜だけ、会う事を許されて……」

「その日が終わったら、また会えなくなるのか」

「うん……。また1年後の同じ日にならないと会えないの……」

「それはまた…、すごい話だな」

「でも、そのお話にあった星が空に輝くから、みんなでそれぞれお願い事をするんだよ」

「それは叶うのか……?」

「うん。そういう日なら、些細なことでも叶いそうでしょ?」

笑顔で語る千尋にアシュヴィンは呆れた。

「途方もない話だな」

「もーー。夢がないんだから」

拗ねてしまった千尋に、アシュヴィンが外の空を見上げる。

「俺ならごめんだな」

「え?」

「願うよりも自分の力で叶える方が効果的だ」

「そう言うと思った」

「そうか」

アシュヴィンはその言葉通りにしてしまう『力』を、持っている。

願うだけでなく、その願いを実現させてしまう『力』が。

「でも……さ」

「?」

「私はこうしてアシュヴィンと毎日いる事が出来て……、やっぱり嬉しい……かも」

「………………………………」

思いもがけない千尋の言葉に、アシュヴィンは固まる。

「きっともう、ずっと会えないなんて耐えられないと思っ……んんっ」

気がつけば千尋の言葉は、アシュヴィンによって塞がれる。

「もう!!いきなり……何っ」

口付けから解放され、アシュヴィンの腕の中に千尋はおさまる。

「いや、お前からそんな言葉が聞けるなんてな」

「あっ……と」

千尋はようやく自分の言葉を自覚し、腕の中で紅くなる。

「俺も……」

「え……」

「もう俺は手放せない。きっと離れ離れになっても、無理やりでも会いに行くさ」

「アシュヴィン……」

アシュヴィンは千尋の顔を自分の方へと向ける。

「さて……と。一緒にいる俺たちは、今宵の逢瀬を楽しもうじゃないか」

「!!……馬鹿」



千尋は逃げようとせず、アシュヴィンの次の行動を待った。

程なくして、再び唇を重ねる。

その口付けはより、深いものとなっていた……。



想いを誓い合うように……。





~fin~

PR
この記事にコメントする
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (チェックを入れると管理人だけに表示できます)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:

Powered by Ninja Blog    template by Temp* factory    phot by Abundant Shine    icon by cherish

忍者ブログ [PR]

プロフィール
HN:
文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
pixiv
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カウンター
ブログ内検索