乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
ED後。ある夜、千尋が思う事は…。
それは暑い日の夜。
千尋はぼんやりと窓の外を眺めていた。
「何か、面白いものでもあるのか?」
「アシュヴィン……」
そんな妻の様子にいち早く気づくのは、夫であるアシュヴィンだ。
「うーーーん。ちょっと思い出しちゃって」
「何をだ」
「向こうにいた世界の事」
「向こうの……?」
千尋に以前に聞いていた話がある。
千尋が5年もの間、豊葦原とは違う別の世界にいたことを。
「うん……。こういう暑い時期のある日の夜にお話があってね」
「ほう……」
千尋の話に、アシュヴィンも耳を傾ける。
「年に1度だけ、会う事を許された恋人同士のお話」
「1度?何でだ」
「えーーと。織姫のお父さんに離れ離れにされて、好きな人に会う事を禁止されたの。
でも1年の決まった日の夜だけ、会う事を許されて……」
「その日が終わったら、また会えなくなるのか」
「うん……。また1年後の同じ日にならないと会えないの……」
「それはまた…、すごい話だな」
「でも、そのお話にあった星が空に輝くから、みんなでそれぞれお願い事をするんだよ」
「それは叶うのか……?」
「うん。そういう日なら、些細なことでも叶いそうでしょ?」
笑顔で語る千尋にアシュヴィンは呆れた。
「途方もない話だな」
「もーー。夢がないんだから」
拗ねてしまった千尋に、アシュヴィンが外の空を見上げる。
「俺ならごめんだな」
「え?」
「願うよりも自分の力で叶える方が効果的だ」
「そう言うと思った」
「そうか」
アシュヴィンはその言葉通りにしてしまう『力』を、持っている。
願うだけでなく、その願いを実現させてしまう『力』が。
「でも……さ」
「?」
「私はこうしてアシュヴィンと毎日いる事が出来て……、やっぱり嬉しい……かも」
「………………………………」
思いもがけない千尋の言葉に、アシュヴィンは固まる。
「きっともう、ずっと会えないなんて耐えられないと思っ……んんっ」
気がつけば千尋の言葉は、アシュヴィンによって塞がれる。
「もう!!いきなり……何っ」
口付けから解放され、アシュヴィンの腕の中に千尋はおさまる。
「いや、お前からそんな言葉が聞けるなんてな」
「あっ……と」
千尋はようやく自分の言葉を自覚し、腕の中で紅くなる。
「俺も……」
「え……」
「もう俺は手放せない。きっと離れ離れになっても、無理やりでも会いに行くさ」
「アシュヴィン……」
アシュヴィンは千尋の顔を自分の方へと向ける。
「さて……と。一緒にいる俺たちは、今宵の逢瀬を楽しもうじゃないか」
「!!……馬鹿」
千尋は逃げようとせず、アシュヴィンの次の行動を待った。
程なくして、再び唇を重ねる。
その口付けはより、深いものとなっていた……。
想いを誓い合うように……。
~fin~
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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