乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
ED後。アシュヴィンが想い悩む事とは…。
「陛下、何やら機嫌が悪いみたいですが」
「言うな。リブ」
「大体予想はつきますがね」
「…………………」
リブの言葉に、アシュヴィンは黙るしかない。
先程から、アシュヴィンは少し苛ついていた。
最近、以前よりも仕事が多忙になっている気がする。
それは気のせいではなく、国との取引、国の建て直し、国民の生活。
考える事は山ほどあり、減る事はない。
朝早い時や夜が遅い時もあり、不規則な生活を強いられている。
それは、アシュヴィンも十分に分かっている。
だが……。
「最近、妃様とお会いしていないからお寂しいんですか?」
「はっきりと言うな、リブ」
リブの言葉は正しく、それはアシュヴィンの心を更に重くした。
互いが忙しく、生活が不規則だ。
それに伴い、夫婦の時間は減っていく。
おかげで同じ宮にいるはずなのに、千尋に会えないままで一日は終わる。
仕事が終わり、夜遅く会いに行っても千尋を気遣ってしまい、部屋に戻ってしまう。
そして、それともう一つ理由がある。
「くだらないことを言ってないで、仕事を続けるぞ」
「はい、わかりました」
リブが持ってくる仕事に追われながら、今日も一日が過ぎていく。
「今日はこれで終わったか……」
アシュヴィンはようやく一息ついた。
だが、外の景色は暗い。
それは、夜を知らせる。
「今日も会いに行けなかったか」
アシュヴィンはそう思いながら、自室で身体を落ち着ける。
「……はぁ」
溜息を吐くと同時に、目を閉じる。
その意識の中には、記憶の中の千尋がいた。
(もうどれだけ、顔を見てないんだ)
本当は記憶ではなく、ちゃんと会いたい。
声が聞きたい。
笑顔が見たい。
触れたい。
抱きしめて…、それから。
「――――っ!!」
アシュヴィンは思い浮かべた事を、すぐさま消した。
「馬鹿馬鹿しい」
本当は、千尋を自分のものにしたい。
その身体に、触れて、自分の手で滅茶苦茶にしたいのに。
千尋に会えば、その理性が脆く崩れそうな気がした。
夜遅くに会えば、尚更。
千尋が欲しくなる。
「今までこんな事は、なかった」
1人の女に振り回されているなんて、皇が情けない。
「それでも、会いたいなんてな」
―――コンコンッ。
扉をノックする音が聞こえた。
「?」
(リブか?)
アシュヴィンが不意にそう思い、扉に近づいていく。
だが、そこにいたのは…………。
「千尋」
「来ちゃった」
笑顔で立っている千尋がそこにいた。
「何で、ココに?夜這いか」
「!!!ば、馬鹿!!アシュヴィンに会いに来たに決まってるでしょ!!」
「俺に?」
「だって、最近会えないからこうして会いに来たの」
「お前が俺の部屋に来るなんて、珍しいな」
いつもは殆ど、アシュヴィンが千尋に会いに行く。
「アシュヴィンが……」
「俺が?」
「疲れてると思って…。だから会いに行くと余計に疲れちゃうと思って」
「……………………………」
それは先程まで、アシュヴィンが考えていた事と同じ事だった。
「アシュヴィン?やっぱり疲れてるの?」
「いや……」
千尋はアシュヴィンがとどまっている事でも、軽く乗り越えてしまう。
「千尋……」
「ひゃっ……」
アシュヴィンは千尋に触れ、その身体を抱きしめていた。
その小柄な温もりは、恋焦がれていたものだ。
「どうしたの?急に……」
「お前は本当に予想もつかないことをする」
「アシュヴィン……」
「………部屋まで送る」
「え?何で急に……」
アシュヴィンの言葉は千尋にとって、思いもがけない言葉だった。
「こんな夜遅くに訪ねて来るなんて、何されても文句は言えないぞ」
「……っ」
その言葉でわからないほど、千尋も鈍くはない。
「わかったらとっとと戻るぞ」
「……っ。でも、私…」
「千尋?」
「もう少し、一緒にいたい。アシュヴィンと」
「………………」
その言葉は、きっと千尋にとって純粋な願い。
本当にアシュヴィンと一緒いにいたいという、願いだった。
無垢であり、純粋。
それが千尋だった。
「仕方ない。もう少し、お前に付き合ってやるよ」
「アシュヴィン……」
「ほら行くぞ」
「待ってよっ」
アシュヴィンは、千尋の部屋へと向かい歩き出していく。
その後に、すぐさま千尋が追いかける。
「ごめんね……、アシュヴィン」
「何で、謝る?」
「え……と」
千尋は何と言っていいかわからず、俯いてしまう。
「もう少し、待ってやるから」
「うん……」
アシュヴィンの言葉に、千尋は頷く事しか出来なかった。
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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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