乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
ED後。ある日、千尋は体調を崩してしまい…。
「ーーーっくしゅん!!」
「妃様?」
千尋のくしゃみに、采女が駆け寄ってくる。
「お風邪ですか?」
「違うよっ。ただくしゃみが出ただけで」
「でも……」
「大丈夫!!」
千尋は、安心させるために笑う。
「今日も仕事が忙しいから休んでられないよ」
千尋は今日も仕事を始めることにした。
「…………………」
「妃様?」
「あ、ごめん」
「どうかされのですか?何度も呼んでいたのですが」
「えーーと、ごめんなさい」
何度か文官が声をかけていたらしい。
だが、千尋は少しボーッとしていた。
(何かちょっと、寒気がするかも……)
身体も少し熱く感じる。
朝のくしゃみ通りに、千尋は風邪を引いたらしい。
(でも、仕事はまだ沢山あるし…)
休んでしまっては、色んな人に迷惑がかかる。
そう思い、千尋は再び仕事に取り掛かる。
だが……。
「あ……あれ?」
急に千尋にめまいが襲い、その場に崩れ落ちた。
「妃様!」
千尋は遠くで文官の声を聞きながら、目を閉じた。
「あ……あれ?」
千尋が目を開けると、そこには自室の天井だった。
「私…?」
「お倒れになったんですよ、妃様。だからあれほど言ったのに…」
「う…」
開口一番に言われたのは、采女のからの説教だった。
「やっぱり、お風邪と疲れみたいですね」
「ごめんなさい……」
千尋は素直に謝るしかなかった。
「一応、アシュヴィン様にも連絡を……」
采女は千尋の様子を確認してから、アシュヴィンに伝えようとしていた。
「待って。……アシュヴィンには伝えないで」
「どうしてですか?」
「アシュヴィンは……、忙しいから……。こんな事で迷惑をかけたくないの」
「妃様……」
国のために忙しいアシュヴィンに、余計な負担を増やしたくない。
「わかりました……。ではもう少しお休みください」
「うん……」
千尋は再び、眠りについた。
「だ、そうですよ。アシュヴィン様」
「………」
部屋の外には、アシュヴィンとリブがいた。
アシュヴィンは、文官からリブへといち早く伝達され、様子を見に来ていた。
「だから、もう少し様子を見たほうがいいと言ったのに」
「そうは言っても、来たかったんだから仕方がないだろう」
言い争う2人に、部屋から采女が出てきた。
「妃様は、落ち着いて休まれています」
「わかった。あとは俺がついてる」
当然のように言うアシュヴィンに、采女は驚いている。
「アシュヴィン様……それは」
「言い出したら、聞きませんから。この方は」
「そういうことだ。リブ、あとはお前に任せる」
「御意」
リブはその場から離れ、歩き出していた。
「では、何かあったらお呼びください」
「ああ…」
采女が頭を下げ、アシュヴィンは頷く。
アシュヴィンはそのまま、千尋が眠っている部屋へと入った。
「全くコイツは……」
千尋はすやすやと眠っているが、少し汗ばんでいる。
アシュヴィンはその汗を拭き取りながら、千尋の顔を見ていた。
「ん……」
千尋がふと目を開ける。
するとそこには……。
「起きたか」
「アシュヴィン!!な、何で」
驚きのあまり、千尋は身体を起こそうとするが、すぐに押し止められる。
「寝てろ。まだ、熱が高い」
「う……うん」
「文官たちがすぐに、俺に知らせてきたぞ」
「えーー。そうなの」
「ああ。だから様子を見に来た」
「ごめん。忙しいのに」
落ち込んで謝ってしまう千尋に、アシュヴィンは頭を撫でた。
「馬鹿だな。大事な妻が寝込んでるのに、来ないわけないだろ」
「アシュヴィン……ありがと」
その言葉に自然と嬉しくなってしまう。
「こういう時は、素直だな。お前は」
「そうかな……」
「ああ……」
アシュヴィンは優しく微笑み、千尋を見つめる。
(何か、得した気分)
思いもがけず、アシュヴィンといられて。
不謹慎だが、喜んでしまう。
「何か、してほしい事あるか?」
「アシュヴィンがそんな事を言うなんて……」
「お前、俺を何だと……。じゃあ、やめるか」
「あ、嘘です。ごめんなさい」
「で、何をしてほしい?」
千尋は少し考えて、それから……。
「手、繋いでてほしい……」
「ああ」
アシュヴィンはそっと、千尋の手を繋ぐ。
「しばらくこうしててね」
「ああ。離さないから安心しろ……」
「うん……」
「いつもこうして甘えてくれればいいのにな」
「? 何か言った?」
「何でもない」
千尋はその日、安心して休む事が出来た。
アシュヴィンの隣で……。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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