乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
ED後。ほんの些細な事で、喧嘩になってしまった2人は。
「もーーーー。アシュヴィンの馬鹿ーーーっ」
「おいっ。千尋!?」
千尋はアシュヴィンから逃げるように、自室へ駆け込む。
その後は、お得意の引き篭もりだ。
「マズッた……」
アシュヴィンは後悔するばかりだった……。
(アシュヴィンは何もわかってないんだからっ!!)
千尋は先ほどまでの事を、思い出していた。
「今日は出かけないか?千尋」
「え?」
それは忙しい合間の、アシュヴィンの誘い。
「ほんとに!!」
「ああ。たまにはな」
「うーーん」
千尋は思い巡らす。
(確かに、アシュヴィンと最近過ごせてないけど……でも…)
その忙しい中で、アシュヴィンは休養をあまり取ってはいない筈だ。
一緒にすごしたい反面、アシュヴィンに休養をとってほしい。
「どうした?駄目なのか?」
「でも、アシュヴィン。最近、少しも休めてないんじゃない?今は休養をとったほうが……」
心配する千尋をよそに、アシュヴィンは……。
「またか……。お前は心配すぎだ。俺はそんなことよりも……お前と」
「『そんなこと』じゃないの!!私は……」
アシュヴィンの言葉に、千尋はショックを受ける。
「~~~~っ」
「千尋?」
「もーーーー。アシュヴィンの馬鹿ーーーっ」
そう叫び、千尋は走り出していた。
(私はただ、アシュヴィンを心配してただけなのに……)
それを軽く受け止められてしまい、千尋としてはショックだ。
千尋はアシュヴィンの事が心配で堪らないのに。
―――コンコンッ。
「!!」
その音に千尋は、顔を上げる。
「千尋っ!!おい」
「……………………」
ノックをしているのは、当然アシュヴィンだった。
追いかけて貰って、千尋は不覚にも嬉しくなってしまう。
(だ……ダメダメッ!!私は怒ってるんだから!!)
「千尋……出て来い。俺が悪かったから」
「……………」
アシュヴィンの声に反応はない。
それは、千尋の怒りも大きいという事だ。
「悪かった、謝るよ」
「…………………」
「お前は俺の身体を気遣ったんだろう?それなのに……無神経な事を言って悪かった」
「……………………………」
「それでも俺は、お前と過ごす事が大事だったから…。一緒にいると気持ちが安らぐ」
「……………………………」
「だから、出てきてくれないか」
「………………………………」
アシュヴィンの声に一向に反応がない。
それでも構わなかった。
千尋が出てくるまで、いくらでも待つつもりだ。
―――キィィィ――――。
長くかかると思われた、その扉は意外にもすぐに開かれた。
「千尋……」
「アシュヴィン………わっ…」
千尋が扉を開けたと同時に、アシュヴィンはその腕を取った。
そして気がつけば、アシュヴィンの腕の中にいた。
「あ……あの…」
「すまなかったな。千尋」
「ううん。私もごめん。すぐに怒っちゃって」
ちゃんと話し合えば、こんな事にはならなかったのに。
「いいさ。お前が俺をそこまで想ってくれてるとわかって、嬉しいからな」
「うん……無理しないでね。一緒にいられるのは嬉しいけど、休みは取ってほしいから」
「そうだな……。今日は休むか」
「うん……。そうして?」
アシュヴィンは、千尋から身体を離した。
(自分で言っておいて、離れるとやっぱり寂しいかもっ)
「当然、お前も一緒だろ?」
「え?」
千尋が答える間もなく、アシュヴィンは千尋の身体を抱き上げた。
「ちょっ!!アシュヴィン!!」
「休むんだろう?2人でな。そうすれば、一緒にいられる」
「………うん」
千尋は顔を紅くしながらも、アシュヴィンの提案を受け入れた。
―――チュッ。
アシュヴィンがそっと、千尋のおでこにキスをする。
「これで仲直りだな」
「うん……」
千尋はアシュヴィンに身を任せ、アシュヴィンもまた歩き出していく。
部屋のドアは静かに閉じられた。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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