週末―――信乃と荘介が生活している屋敷へと戻ってくる。
けれど、馴染みの幼馴染はいなくて……その代わりにいたのは……。
「何よ、その顔……」
「ん?」
目の前の尾崎 要はにこにことやたら上機嫌だ。
その顔を見て、浜路は不機嫌が増していく。
「いや……、君が帰ってきてくれて嬉しいなって」
「別に関係ないと思うけど……」
ここの屋敷にいる人物は……一癖もある人間が多いけれど……。
要は特にくえない男だと思う。
「しーちゃんたちは出かけてるし、あやねも今日は風邪気味みたいで休んでるみたいだよ」
「そう……」
せっかくの休日なのに、大好きな幼馴染と友人に会えないのはやっぱり寂しい。
あとで、あやねのお見舞いに行くことが出来れば……と考える。
「だから……今日は僕とお茶でも……買い物でもしない?」
「……遠慮したいんだけど」
自分のペースが崩されやすくなるから……要は苦手だ。
ある一定の部分で付き合う分にはいいのに……時折、彼は踏み込んでこようとする。
だから……困る。
「そう言わずに、お姫様の退屈しのぎにはなれると思うけど?」
「………」
他のみんなはいない事もあるのに……要だけは週末には必ずいる。
それが……自分のためだなんて……自惚れたくはない。
「わかった。ちょっとだけよ」
「良かった。君の学校生活の話を是非聞かせて?」
「そんなの楽しいとも思えないけど……?」
「君の話なら……どんなことでも楽しいよ」
「………物好きね」
それでも……嫌じゃない自分がいるから……不思議だ。
浜路は複雑な想いを抱きながらも、要の目の前の椅子に座る。
今日もまた浜路は、要とのティータイムをすることになっていた。
~fin~