乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
要✕浜路
「…………」
(どうして……こうなっちゃうのかしら?)
浜路は今の状況にため息をついた。
恒例となりつつある、ティータイム。
一緒に飲むのは、要だった。
最近は、要と一緒に過ごす事が多くなった。
それと同時に、信乃と荘介と過ごす時間が減ったという事を意味する。
ただでさえ、短い週末なのに……。
距離が出来たようで、少し寂しい。
浜路がそんな複雑な想いを抱きながらお茶を飲んでいると、目の前の要が笑っていた。
「僕じゃ不満?」
「別に……」
何もかもがお見通しというように、要は笑っている。
それが浜路の癪に触ったが、気づかない振りをした。
「しーちゃんたちといれなくて……寂しい?」
「まあ……ね。こんなに離れることなんて……なかったから……」
ずっと一緒にいることが当たり前だったから、こうして離れることには戸惑いもあった。
けど、それも徐々に慣れつつある事に不満だ……。
「今回は莉芳の用事で2人は遠出してるからね……。用件が済めばすぐに帰ってくると思うけど?」
「怪我しなければいいけど……」
すぐに無茶をする信乃だ。
それ故に、怪我もしやすい。
荘介が上手く守ってくれればいいが……。
「2人が本当に大事なんだね」
「もちろんよ。2人は私の特別だから……」
「妬けるね」
「…………」
一体何に妬けるというのか……。
2人と一緒にいない自分は、不機嫌だというのに……。
「ね……浜路」
「何?」
「僕は……君がいなくて…寂しいよ」
「……誰にでもそう言ってるんじゃないの?」
「ひどいなーー。本気なのに」
「…………」
笑顔のままでいる要に、浜時は軽く受け流す。
本気なのか、冗談なのか……よくわからない。
どうして……自分にそんなことを言うのかよくわからなかった。
あんまり深く考えたくもないが……。
「ま、しーちゃんたちがいない間は、お姫様のお相手になりますよ」
「随分と暇なのね」
「これでも君のために時間を作ってるって言ったら……どうする?」
「え………?」
要の視線がまっすぐに浜路を見つめる。
笑みは変わらないのに、その視線は浜路を捉えて離さない。
浜時はカップを持ったまま、動けずにいた。
まるで……金縛りのよう……。
その間……数秒のはずなのに……。
浜路にはとても長い時間に思えた。
「……なんてね」
「……っ」
要は浜路から視線を逸らして、お茶を飲み始める。
それと同時に、浜路は先ほどの金縛りが溶けたような気がした。
「君といると……つい夢中になっちゃうよ」
「な……にによ?」
「君にだよ、浜路」
「……っ」
さらりと告げられた言葉。
浜路は一瞬押し黙って……それから。
「ばかじゃないのっ!!」
「はは……っ、そうかもね」
大きな声を出す浜路に対して、要は楽しそうにしている。
すっかり、要のペースになっていて……浜路には面白くなかった。
「私は……簡単じゃないんだから」
「そうだろうね…。そう思うよ」
「………」
浜路は何も言わず、残っていたお茶を飲み始めた。
お茶はすっかり冷めていて、よく味がわからなかった。
~fin~
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文月まこと
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乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
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