乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
要✕浜路
「浜路の髪って綺麗だよね」
「何よ、唐突に」
話をしていると、何かのついでのように要が言った。
「素直な感想だよ。綺麗な赤毛で……長くて……とても君に似合ってる」
「……ありがと」
浜路は短い言葉で、それだけを口にする。
褒められたけど、素直に喜べないというか…。
それが、要だからかもしれないけど……。
「ずっと伸ばしてるの?」
「そうね……。出来れば長くしたいわね」
「どうして?」
「昔の信乃の様に……可愛くなりたいっていうか……。憧れというか……」
昔、女装していた信乃は、大層美しかったのを浜路は覚えている。
今でも、もちろん可愛いけど……。
昔の信乃の美しさに、浜路はずっと憧れていた。
「やっぱり、しーちゃんの影響はすごいね」
「そうね。でも、それほど美しかったのよ。信乃兄さまは」
今でも憧れてやまないほど、浜路の中で信乃の存在は大きい。
それは……もちろん今でも。
「君の長い髪も……好きだよ。ずっとそばで見て、触れたいくらいに……」
「さすがに触ったらダメよ。それは許さないわ」
「わかってるよ。君の幼なじみたちが飛んできそうだし。眺めてるだけで満足だよ……今はね」
「………」
要は意味を含ませて言う言葉に、浜路は黙りこむ。
そんな浜路に対して、要はなおも言葉を続ける。
「きっと君が大人になった時……昔のしーちゃんに引けをとらないほど……浜路は美人になると思うよ」
「…………」
軽く言うのに、要のその言葉には確かな真剣さが混じっている。
浜路は上手く受け流せない。
要の真剣さを少なからず、感じていたから……。
「だから……楽しみにしてる」
「それまで一緒にいるかしら?」
「僕はいたいと思うけど?」
君は?……と要が浜路へと問う。
浜路は要へと笑みを浮かべていた。
「さあ……どうかしら?」
浜路の笑みを見て、要は息をはく。
「手厳しいよね……君は」
「その方がいいんでしょ?」
「うん……とても君らしくて…いい」
「お褒めにあずかり……光栄だわ」
互いに笑みを絶やさぬまま、相手を見つめている。
一種の駆け引き。
動揺したら負けだ。
だから……笑顔を崩さない。
屋敷の一角では、今日も笑顔の攻防戦が繰り広げられていた。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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