乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
蒼✕信乃
荘介はいつもの通りに、教会の仕事に出かけてしまった。
信乃はあてもなく、旧市街を歩いている。
残る玉は『義』の玉のみ。
それは、荘介の影である蒼が持っている。
出来れば蒼に会って、取り戻したいところだが……。
「簡単にはいかねぇな……」
ただでさえ、人混みは苦手なのに……。
気持ちばかりが焦る。
今日も収穫はなしか……と半ば諦めていた時だった。
『影が……いる』
「え……」
肩に乗っている村雨がそう告げていた。
人混みの中、唯一目立つ人物がいる。
驚く信乃に対して、蒼はひらひらと手を振っていた。
「よっ、信乃」
「あ、蒼っ!!?」
信乃の目の前に蒼がいる。
驚いていて動けない信乃に対して、蒼が距離を詰めてくる。
「何でここにいるんだよ」
「もちろん、信乃に会いに来たに決まってるだろ?」
あっさりと言う蒼に、信乃はフツフツと怒りが湧いてきた。
「いい加減、荘介の『玉』を返せ」
「ダメ」
「何だと!!!!」
怒りを露わにする信乃に、蒼は飄々とした様子で言葉にした。
「ねぇ……信乃」
「あ?」
「信乃はどうしたら、『荘介』じゃなくて……俺を選んでくれる?」
「どうしたらって…」
選ぶも何も……だって、2人で1人だろ?
そもそも……その問いがおかしい。
グッと間近に迫った蒼が、信乃を見下ろす。
「このまま……連れ去って……閉じ込めようか?2人だけの世界で……」
「なっ!!?」
驚きで言葉を無くしている信乃と蒼の影が重なった。
それは……ほんの一瞬で。
信乃も何をされたかよくわかっていなかった。
「ま、それは最後の手段にしておくよ」
蒼の指が信乃の唇をなぞる。
その行為に我に返った信乃が、即座に蒼の手を跳ね除けた。
「何すんだ!!」
「んー、宣戦布告?」
「はぁ!!?」
「っと。そろそろ時間かな。またな、信乃っ」
「ちょ……待て!!」
信乃の叫びも虚しく、蒼はあっという間に人混みへと消えていく。
最早……為す術もなかった。
「あー、どうしよう」
信乃は口元をおさえて、その場で立ち尽くす。
荘介じゃないのに……動揺した自分がいた…。
「くそっ!!」
荘介に対して……言えない秘密が出来てしまった。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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