乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
要✕浜路
その日は朝から準備に追われていた。
浜路は黙々とキッチンであるものを作っている。
出来上がりは上々だ。
「えーと……信乃と荘介と……あやねちゃんと……」
指折り数えて、作った数を確認していく。
「キツネちゃんたちと里見さんと……それから……」
浜路はラッピングした箱を見つめて、数が合っていることにホッとする。
「…………」
残り一つ分だけ、浜路は無言でそれを見つめていた。
「はい。荘介」
「…………ありがとうございます」
浜路からのプレゼントを、取りに来た荘介は引きつった顔でそれを受け取った。
信乃と荘介の分……それから小文吾や現八など2人がお世話になっている人の分。
荘介は浜路の手元を見て、多くの包みがあるのを確認する。
「今年は結構沢山作ったんですね」
「そうね。今年は出会った人も多くいたし」
昨年とは違い、帝都に出てきた自分たちは多くの人に出会った。
親しくなった人、お世話になっている人……様々だ。
明らかに自分たちの環境は大きく変化した。
「だから、今日は配りに行かないと」
「……ちなみにこの中身は?」
荘介に問われて、浜路はニッコリと笑う。
「薬膳チョコよ」
「……っ!!」
「残したら許さないからね」
絶句する荘介に、浜路は釘を指すことを忘れなかった。
今日は学校がある日なので、わずかな時間しか屋敷にはいられない。
それでも、浜路は屋敷へと戻ってきた。
屋敷の中に入り、キョロキョロと目当ての人物を探す。
自分が声をかけるよりも早く、相手が先に見つけた。
「あ……浜路。お帰りーー」
「要」
「しーちゃんたちは出かけてるよ」
「知ってる。さっき荘介には会ったから」
「そっか。どうかしたの?今日はまだ学校でしょ?」
要に問われて浜路は持っていた袋を渡す。
「はい」
「?」
「チョコレートよ。バレンタインだから」
「え……僕に?」
「正確にはキツネちゃんたちと里見さんとあやねちゃんの分」
「あー、そうだよね~」
「つ・い・でに、要の分」
「ついでか……」
浜路の言葉に、要は少しがっかりとした様子だ。
だが、すぐに持ち直して浜路へと笑顔を向けた。
「でも、嬉しいよ。ありがとう」
「………」
本当は荘介に全部託すことも出来た。
でも……何故だかそうしたくない自分がいた……。
何故だか……要には直接渡したかった。
「さ、帰らなきゃ。門限あるし……」
「学校まで送らせて」
「え……別にいいわよ」
「僕が浜路といたいんだよ。これは…その口実だから……」
「………………そう。だったら、送らせてあげる」
「ははっ。喜んで」
そっけない浜路の言葉に、笑ったまま答える要。
それを見て、浜路の心もほんのりと温かくなっていく。
たまには…こんな日があってもいいかもしれない。
今日は特別な日だから……。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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