乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
荘介✕信乃
「信乃。俺にチョコをくれっ」
「は?」
現八に言われた言葉に、信乃は固まった。
ただならぬ現八の様子に、呆然としていたとも言う。
「今日はバレンタインだろ?だから……俺に」
「兄貴は黙ってろ!!」
現八が言葉を続けるよりも早く、小文吾が吹っ飛ばしていた。
2人のやり取りを見て、信乃は古那屋を後にする。
その中で、先ほどの言葉を思い出していた。
『バレンタイン……ね』
風習と走っているものの、いまいちピンと来ない。
毎年、浜路からは貰っていたし……。
それに……。
「お帰り、信乃」
「ん、ただいま」
屋敷に帰れば、当たり前のように荘介が出迎えてくれる。
それを日常として感じていて、いつも何も変わっていないことにホッとした。
食事が出るのを待っていると、荘介が何やら可愛らしいラッピングの箱を持ってきた。
「はいこれ。浜路から」
「……」
「今年は浜路は学校ですからね。取りに来るようにって言われました」
「これって……」
「薬膳チョコらしいですよ」
「……うわぁ…」
その名前を聞いて、信乃はショックを受けた。
最早、プレゼントの包みを開けることすらおぞましいというか……。
「食べるか……」
「そうですね」
せっかく浜路が作ってくれたものを、食べないわけにはいかない。
それは荘介も同じように思っていて、いわば毎年の試練になっていた。
そして、いつもの様に荘介が信乃の前にマグカップを置いた。
その中身はほんのり湯気が立っている。
「はい、信乃」
「ん、ココア?」
「ええ。少しでも中和されればと思って」
「されればいいけど……」
浜路のチョコを食べる前に、そのココアを口に入れる。
「甘い」
「良かった。今日はマシュマロを入れてみたんです」
「うん……これ好きだっ」
荘介が作ってくれるものはいつも美味しくて……幸せになれる。
甘いのは決してココアだけのせいではない。
「ほら、信乃の口の周り汚れてますよ」
「っ……」
荘介が信乃の口の周りをハンカチで拭ってくれる。
荘介が触れて、世話を焼いてくれる。
その瞳の奥が優しい。
「………」
ドキドキとした気持ちを誤魔化すように、信乃は再びココアを口にする。
信乃の口の中はいつもよりも……甘くなった気がした。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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