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乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
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玄徳×花


過去に発行したコピー本  「天然恋愛戦術」より


 


最近、花の様子がおかしい。


献帝が長安に入り遷都された。

それぞれの力が拮抗した今、情勢は安定している。

ここに来るまでに色々あったが、それでも平穏が保たれていた。

そんな中で、ようやく長い時を経て、花と想いを通わせたのだが……。

近頃仕事が忙しくて、花と会う時間が減っていたのだが……。

ようやく会えば、少しだけ様子がおかしく感じる。

少しだけ眠そうだったり、何かを隠しているかのような態度を見せる。

流石に問い詰めるような真似はせず、そのままにしていた。

「あ……」

そんな風に考えていたからか、花の姿が見えた。

単純と思いながらも、その姿に近づいてく。

近づいてみると、傍には雲長がいた。

話をしている2人に、声をかけようと思っていた時だった。

「今日か?」

「はい、時間がある時に、またお願いしたいんですが……」

「わかった。ところで玄兄はまだ秘密なのか?」

「はい……。まだ言えなくて……」

「そうか……。なるべく早くに言った方がいいんじゃないのか?」

「わかってるんですけど……」

「焦る必要は無い。心の準備が出来たら言えばいいだけだ」

「はいっ、ありがとうございます」

「また、あとでな」

「失礼しますっ」


2人の足音が遠ざかっていくのがわかった。

だが、俺はそのまま動けずにいた。

「な……何だ。今のは……」

気になるのは、花と雲長の会話だ。

2人の会話がやけに親密に感じて、入っていく事が出来なかった。

その上……。

「俺に秘密って……何だ?」

花が俺には言えない事を、雲長と秘密を共有している。

その事実が、俺の中にある感情を黒く塗り潰していく。


「馬鹿か……俺は」

花と雲長は仲間として会話しているだけなのに、身勝手な感情を抱いてしまう。

花という存在が、俺の心を簡単に乱していく。

それほどに俺は、花に惹かれて止まない。

「気になるなら、確かめてみるしかない……か」


今日の仕事のめどがついたので、俺は花の部屋へと訪れている。

「花、今いいか?」

「げ……げ……玄徳さんっ」

俺の突然の訪問に驚いたのか、それとも何かあるのか、花は明らかに動揺している。

大きな物音がしたかと思うと、花が慌てて出てきた。

「どうしたんですか?」

「いや、お前の様子が気になって……な」

「?」

「最近、あまり顔を合わす時間もないし……会いに来た」

「はい……」

「ところで今、何かすごい音が聞こえたんだが……?」

「あ……と。その……」

言いにくそうにしている花に、俺もあまり言いたくない言葉を口にした。

「何かあるのか?実は今日……、お前が雲長と話してるのを聞いたんだが……」

「ええっ!」

「雲長は知っているのに、俺に言えない事なのか?」

「……」

俺の言葉に花は、黙って考え込んでしまう。

「花」

「実は…………ちょっといいですか?」

「ああ」

花は俺の手を掴んで、自分の部屋へと連れて行く。

俺はその光景を目にして、驚いた。

「これは……」

部屋の机にあったのは、いくつもの料理だった。

明らかにその量は多く、しかも少し焦げてしまったのもある。

「これ、食べるのか?」

「一応……」

花は、明らかに落ちこんだ様子で答えていた。

「この料理はどうしたんだ?」

「私が作ったんですけど……、ちょっと失敗してしまって……」

「お前が作った物なのか!」

「はい、雲長さんや芙蓉姫に教わってるんですけど……、やっぱり慣れてなくて、1人で作ると失敗してしまったんです」

「でもどうしてこんなに……?」

少なくとも、女1人が食べる量ではないと思う。

「玄徳さんに食べて欲しかったんです。けど、失敗した物なんて渡せないから……」

「だから、雲長に頼んで教わってたのか……」

「はい……。前に作った時、すごい喜んでくれたから……。また作ってたんですけど……、どうしても上手くいかなくて……」

「花」

俺は気がつけば、花を抱きしめていた。

その柔らかな身体に触れれば、それだけで俺の心は満たされていくようだった。

「げ、玄徳さん?」

「すまないな。気を遣わせた」

「そんなっ!!私が勝手にやった事ですよ?」

「別にお前の作る物なら、どんなものでも食べるぞ」

「でも……」

「そんな風に遠慮するな。俺はお前の気持ちが嬉しいんだ」

「本当ですか?」

「ああ……だが……」

「ん……」

俺は花の唇を唐突に塞ぐ。

そういえば、こうして触れるのもかなり久しぶりだ。

息を乱している花に、俺は言葉を続けた。

「お前が他の男と秘密を共有してたと思うと、いい気分はしないな」

「ごめんなさい……」

「どうも俺はお前に関しては、余裕が無いみたいだ」

「玄徳さん……」

「花……」

今度は花が目を閉じてから、再び口づけていた。


「とりあえずは……、この料理を食べるか」

「そうですね」


久しぶりに2人で過ごす時間は、穏やかに過ぎていった。

 

 

~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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