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乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
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蒼信での一コマ。最初は蒼視点だけだったのですが、「続きないの?」と言われ、信乃視点も追加で足しました。
鶇 真琴 さまが この話のワンシーンを描いてくれましたっっ。
ありがとうございますっっ。




腕の中に温かい、確かな温もりがある。

その温もりは今は……穏やかな寝息を立てていた。

「ん……荘介」

「荘介……か」

信乃の口から漏れるのは、荘介の名前。

わかっていたけど、心が苦しい。

こうして今ままで抱き合ったのも、抱きしめているのも自分なのに……。

「やっぱり……まだ……ダメなのかな」

まだ、荘介には勝てない。

月日だけじゃないけれど、やっぱり恨めしい。

「ん……」

「起きた?信乃」

信乃が身じろいだので、蒼はそちらへと視線を向けた。


「あ……お……」

「っ……」

「ん…………」

信乃はまだ眠ったまま、夢の中だ。

でも、確かに自分の名前を……呼んでくれた。


「ずるいな……信乃は……」


さっきまであった黒い気持ちが一瞬で消えた。

それどころか、今嬉しさでいっぱいだ。


「信乃……好きだよ」


蒼は信乃が起きないようにそっと囁いた。

 

 

―――

――

 

そこはフワフワとした世界。

地に足がついていないような……そんな感覚。

荘介も村雨も……見知った人間は誰も居ない。

モヤがかかったような中で、ぼんやりと見えた人影。


「……蒼?」

「……」

自分とは離れた場所で、蒼が立っていた。

その表情はどこかいつもと違う。

いつもの余裕はまるでなかった。

どこか悲しそうに見える。

信乃はその顔を見て、胸を締め付けられた。

「……蒼。どうしたんだよ」

「……信乃」

「蒼?」

 

「……好きだよ、信乃」

「っ!!」

ーー寂しそうで、悲しそうで。

そんな顔で告げた言葉。

 


モヤが濃くなり、蒼の姿が見えなくなっていく。

「ま………ま、てっ」

どんなに呼んでも、近づこうとしても……それが叶わない。

それとは引き換えに、蒼の姿は見えなくなっていく。

「あ、蒼ーーっ!!!」


自分の叫びも届かないまま、蒼は消えていった。

 

 

「ーーっ!!」

不意に目が開いて、視界がはっきりとする。

「ゆ……夢?」

先ほどまでのモヤ消えて、はっきりと周りが見えるようになった。

「どうしたの?信乃」

「あ……」


自分を見下ろすのは、蒼。

今の自分は、蒼の腕の中にいた。

 

信乃は蒼の胸にギュッとしがみつく。

「信乃?」

「……あ、おっ」

「怖い夢でも見た?」

「……っ」

信乃は何も言わずに、蒼の胸にしがみついているだけ。

その手は小刻みに震えているのが蒼にはわかった。


「ーー信乃、大丈夫だ」

「ーーっ」

「俺は……ここにいるよ」

「ーーうん」


しがみついている信乃を蒼は力強く抱きしめていた。

 

~fin~




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プロフィール
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文月まこと
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自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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