そんな勢いで赤髪の白雪姫のオビ→白雪 を置いていきます。
勢いって恐ろしい。
ーーその感情に、名前なんていらない。
「……ふぁ」
思わず出るのは、あくび。
未だに王宮の仕事というのは、退屈だ。
自分から進んで主の元へ来たものの、むいていない書類の仕事ほど退屈なものはない。
それでも仕事に関しては手を抜くつもりはなく、自分に与えられた仕事をするだけだ。
ある程度は終わらせて、合間の休憩時間。
オビは木の上で休んでいた。
いっそこのまま昼寝をしたいが、そうもいかない。
まだまだ仕事は山積みなのだから……。
(あ……)
ふと、オビの視界に入ったのは、赤色。
その容姿は誰だかすぐにわかる。
オビは木から降りて、無意識に声をかけていた。
「お嬢さんっ」
声をかけて振り返ったのは、赤髪である白雪。
宮廷薬剤師である彼女は、常に忙しい。
「あれ、オビ休憩中?」
「そ。お嬢さんは忙しそうだね」
「リュウを呼びに行こうと思って」
「ああ、リュウ坊は夢中になると、時間気にしないから」
「そうなの」
白雪の上司であるリュウは少年ながらも優秀で、仕事に没頭すると他の音が聞こえない。
だから、そんなリュウを呼びに行くのは白雪の役目だった。
「俺も付き合うかな」
「時間大丈夫?」
「大丈夫大丈夫」
「そう?」
白雪は一緒にいくことを了承してくれて、オビは白雪の速度に合わせた。
白雪と隣を歩く。
それは今までも何度もあって……特に意識したことはなかった。
でも……この隣が心地よいのは……確かだ。
「そっちも忙しそうだよね」
「主は人使い荒いから」
「ふふっ」
「何すか、お嬢さん。笑ったりして」
「それでも嫌じゃないんでしょ?」
「ま、確かに」
白雪の話には必ず、主であるゼンの話が出てくる。
白雪自身は無意識で、尚且つ王子の話をすることは……相手が限られてくる。
だから、オビがその相手になるのも当然だった。
それでもいい。
ゼンの話をする白雪はとても……楽しそうだから。
「あ、リュウーーっ」
「やっぱり夢中で声が聞こえてないね」
「リュウー。時間ですーーーー」
声が聞こえていないリュウの側に駆け寄っていく白雪。
そんな白雪を見て、和やかな気持ちになる。
笑っていて、とても楽しそうで。
漠然とだが、いつまでも見ていたい気持ちになる。
――この感情に、名前なんていらない。
知らないままで……いい。
色を付けないまま、明確にはしないほうがいい。
自分のためにも。
fin
同人活動も行っています。