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乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
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GS3。

琉夏×バンビ。

主人公の名前は、「小波 美奈子」です。

「友好」と「好き」の境目?


 

 


――天気予報は、本当にあてにならない。

降水確率0%なんて、誰が言ったのか……。


午前中はすっきりと晴れていたはずだった。

だが、今は……。

「どしゃ降りだ……」

窓の外の景色を見て、美奈子は思わず立ち尽くす。

午前中の天気が嘘のように、今は強い雨が降り続いている。

これはすぐに止みそうもないほど……。

美奈子は常備していた折り畳み傘がある事に安堵し、昇降口へと向かう。

他の生徒は諦めて濡れて帰る者、雨が止むまで待つ者、

美奈子のように持っていた傘で帰り始める者。

そんな人が行き交う中で、美奈子はある一点に目を向ける。

「あ……」

視線の先には、琉夏が昇降口でぼんやりと外を向いたままで、その場に立っている。

美奈子はそんな琉夏に自然と近づいていた。

「琉夏くん、どうしたの?」

「あ、美奈子」

琉夏は美奈子の存在に気がつくと、柔らかな微笑みで視線を美奈子へと変える。

その表情が反則だと思いながらも、美奈子は平静を保った。

「こんな天気だろ。どうするかなぁって思ってさ」

「傘ないの?」

「うん、ない」

さすがに琉夏は傘を常に持ち歩いてはいないようだ。

「だから、走って帰ろうかなぁって思ってたとこ」

「ええっ、風邪引いちゃうよ」

小雨だったらそれでもいいが、流石に今日は限度を越えている。

こんな雨の中で帰れば、風邪を引くに決まっている。

そんな風に思えば、自然と取る行動は一つだ。

「一緒に帰ろ?私傘持ってるし」

「やたっっ。ありがとう、美奈子」

琉夏の笑顔に、美奈子は心の中で舞い踊っていた。

 

一向に止まない雨の中を、二人は一つの傘で歩き出す。

傘を持っていた美奈子の手を琉夏が上から握り締める。

「俺が持つよ、傘」

「え……でも」

「美奈子の身長だと、俺の背まで届かせるの大変だろ?」

「う……」

そう言われてしまっては、美奈子は任せるしかない。

「ごめんね」

「むしろ俺が助かってるんだから、気にしないで」

「うん……」

普段よりも距離が近くで、周りの音は雨の音しか聞こえない。

そうなれば、美奈子は自分の心臓の音に焦った。

この音が琉夏に聞こえるのではないのかと……。

普段よりも近すぎる距離が、美奈子とそして琉夏も無言にさせていた。

「美奈子」

「え?」

「濡れるから、もっと傍に来て」

「あ……うん」

距離が更に縮まる。

触れるか触れないかの距離。

きっと、焦ってるのは自分一人で。

琉夏本人は平然としているのだろうと思うと、舞い上がっている自分が恥ずかしい。

 


美奈子は帰り道、何を話したのか全く覚えていない。


だが、こういう日も悪くないと思った。

 


~fin~

 

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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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