恋人設定。
朝は戦い。
それは、ノヴァが一番身にしみている。
「おい、起きろっ」
「……」
「フェルッ」
大きな声で呼ばれて、フェリチータは重い瞼がようやく反応する。
だが、覚醒にはまだ程遠い。
「んー?」
「いい加減、起きろ。皆、そろそろ集ま……る」
ノヴァの声は途中で止まる。
何故かフェリチータが急に微笑みだした。
「ノヴァ……」
「っ!!」
ふわっと笑いながら、その名を紡ぐフェリチータ。
その威力は、ノヴァには十分だった。
「フェリチータッ!!!」
更に大きな声が響き渡って、フェリチータは何とか目を覚ました。
「全く、お前は何でそんなに寝起きが悪いんだ」
「ご……ごめんってばっ」
ノヴァに起こされて、フェリチータは急いで身支度を整えた。
食事は全員揃って行う、それが決まりだ。
だが、朝の弱いフェリチータはいつもノヴァに起こされる。
時間ぎりぎりのためか、自然と早足になる。
「でも、ノヴァが来てくれるおかげで、遅刻しないですむよ」
「当たり前だ。僕が起こしに行って、遅刻させるわけがない」
「うん」
ノヴァはフェリチータの目覚めが悪いのがわかっているから、早めに部屋に来てくれる。
そして、いつも間に合わせてくれる。
口では厳しくても、ノヴァはやっぱり優しい。
ノヴァに起こしてもらうのは嬉しいし、朝一緒にいられる事が何よりも楽しみだ。
「でも、いつもごめんね。朝早いのに……」
「別に……。気にすることじゃない」
そうは言うものの、やっぱりフェリチータは気にかかる。
「……ノヴァに迷惑かけるなら、ルカに頼もうかな」
「ダメだ」
「え?」
「……お前を起こすのは……僕の役目だし、ぎ、義務だ」
「ノヴァ?」
どうしてかノヴァの顔が少し赤い気がする。
だけど、その理由がわからない。
「とにかく気にする必要はない。ほら、急ぐぞ」
「う……うん」
話を打ち切り、ノヴァは歩くペースを速める。
フェリチータは首を傾げながらも、自然と顔が綻んでいた。
~fin~
同人活動も行っています。