「ふふっ」
隣にいるフェリチータは、にこにこと笑っている。
その様子をノヴァは、先ほどから気になっていた。
外での警備の休憩中、食事に向かっている時だった。
「何だ?さっきから笑って」
「だって、嬉しいから」
「嬉しい?」
ノヴァが首を傾げると、フェリチータはすぐにその答えを教えた。
「こうして、ノヴァと一緒に歩いているだけで、嬉しいなって」
「なっ!!」
フェリチータの素直すぎる言葉に、ノヴァは言葉を無くす。
ノヴァは先ほどよりも顔の熱が上がる。
「お前……」
こんな外で、何を言うのだろう。
だが、不快な気持ちにはならない。
ノヴァは緩みそうになる顔を堪えながら、何とか保つ。
「別に……今……お前と一緒にいるのは……職務の休憩中だ」
だから、少しは気を引き締めろ。
そうノヴァは釘を刺す。
「……」
しかし、フェリチータには十分すぎるほど厳しかったようだ。
先ほどとは変わって、落ち込んだ様子を見せる。
「……」
昔はともかく、恋人に言う台詞でも無かったか。
言葉の意図は間違えてはいないが、もう少し言葉を選べばよかった。
上手く伝える事が出来ない自分が歯がゆい。
「でも、そうだな。こうして一緒にいて、穏やかな気持ちでいられるのはお前が一緒にいる……おかげだ」
「ノヴァ……」
「っ!」
一瞬でフェリチータは笑顔になり、その笑顔にノヴァは再び言葉を無くす。
何とか平静を保ちながら、ノヴァは言葉にしていた。
「だ……だからって、警備中は気を抜くな」
「うんっ」
フェリチータは素直に頷く。
自分の言葉で笑顔になる恋人が愛しい。
それに……自分も、フェリチータと一緒にいられて嬉しいのに……。
わかっているのだろうか?
ノヴァは隣にいるフェリチータの笑顔を見つめながら、リストランテまでの道を楽しんでいた。
~fin~
同人活動も行っています。