前回の話の 野崎視点。
――改めて、感じた。
前から気になっていった事があって、佐倉がアシスタントの日にそれを頼んでみた。
「佐倉、手を見せて」
「え?手」
唐突に言ったが、佐倉は反射的に手を出してくれた。
「ちょっと参考にしたい」
「あ……うん」
突然の申し出に驚きはしたが、佐倉は快く引き受けてくれた。
ジッと見つめて、その手を観察する。
自分とは違う綺麗な、小さな手。
小さくて綺麗で……繊細な作りに思える。
何故だか不意にその手に触れたくなった。
急に手を握るから、目の前の佐倉は当然ながら驚いている。
「ののの……野崎くん」
「あ、すまん」
いくらなんでも不躾だったか。
「男女の手の大きさが……どれくらい違うのかを見たくて。不快だったら止めるから」
「い……嫌じゃない、よ」
佐倉の答えに安堵する。
嫌がられなくて良かった。
ギュッと自分の手で包み込んだ手は、やっぱり小さい。
元々、佐倉と自分では身長差がかなりあるので、当然と言えば当然だが……。
感じる温もりに、何故かホッとする。
もっと触れていたいと思う。
(……何故だ?)
その理由が全くわからない。
でも、わかるのはこの手を離したくないってことだけだ。
けれど、意味もなく握り続けるのは、どう考えても不自然だ。
――恋人同士でもないのに……。
「あ……のっ」
「ありがとう、参考になったよ」
「っ!!」
何か言おうとしていた佐倉の言葉を遮り、その手を離していた。
少し……名残惜しかったが……。
ふと見ると佐倉は何故か俯いたまま、黙りこんでいる。
「佐倉?」
「……野崎くんの……」
「俺の……?」
「……野崎くんの、バカ――っ」
「え?」
佐倉は怒っていて、大きな叫び声をあげていた……。
(何でだ?)
その理由はよくわからなくて……。
しばらくは、怒っている佐倉に謝る日が続いていた。
fin
同人活動も行っています。