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乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
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尾崎隼人×久世ツグミ







―思っていたよりも、自分は欲深いらしい。

「あ……隼人……」
ふと、隼人の姿が見えただけで心が弾む。
自然と笑みが零れて……嬉しくなってしまうのは仕方がない。
声をかけようと足早に近付いていた。
――けれど。
「隼人ー。ちょっとこの書類の件なんだが」
「はい何ですか?朱鷺宮さん」
「あ、いたいた。尾崎君」
朱鷺宮や猿子……様々な人が隼人へと声をかける。
内容はもちろん仕事のことで、新米の自分には判断が難しいことばかりだ。

隼人は 忙しい人 だ。
探索部のリーダーで皆のまとめ役。
朱鷺宮からの指示や現場で起きたことの報告。
些細なことから大きなことまで様々だ。

自分よりもはるかに忙しそうにしている姿を毎日のように見る。

会えたとしても夜のほんのわずかな時間の時だけ。

もっと一緒にいたいと思っても、引き止めて負担になってしまわないかを考えてしまう。
「はぁ……」
それでも部屋で一人になれば、自然とため息が漏れるわけで……。

「わがままだったんだなぁ……」
本当なら仕事を気遣わないといけないのに……会いたいなんて……そんなの自分のわがまま。
彼を好きになればなるほど……欲張りになっていくようだ。
――そんな時。
「おーい、起きてる?」
「!!」
部屋のドアをノックする音が聴こえて、ツグミは一目散にドアへと近づいた。
勢いよくドアを開ければ、そこにはいつも通りの隼人がいた。
「あ、起きて……た。って、どうした?」
「え?」
「変な顔してる」
「な、何でもない」
「何でもなくないだろ?どうした?」
どうして……隼人はこんなにも目ざといのだろう。
それとも……自分はそんなにわかりやすいのだろうか?
「ツグミ?」
「……っ」
「え……おい」
ツグミは彼を部屋の中へと引き寄せて、ドアを閉めた。
「どうし……」
彼の言葉を塞ぐように、ツグミは隼人へと抱きついていた。
「おい……?何かあったのか?」
いつもとは違う彼女の行動に、隼人は戸惑うばかり。
ツグミは会えた嬉しさで胸がいっぱいで……気遣う声にさらに泣きたくなる。
「……の」
「え?」
「……こうしたかったの」
「……そうか」
隼人は怒るでもなく、力を込めて抱き返す。
ツグミの気が済むまで……隼人は何も言わずに抱きしめてくれた。
ベッドへと腰かけて、隼人はツグミの肩を抱いたままで過ごしていた。
「で、何があった?」
「ふ、深い意味はないんだけど……」
「でも、何か理由はあったんだろう?」
「……」
探るように見つめられ、ツグミは負けてしまった。
「……ちょっと……寂しかっただけ」
恥ずかしさで後半は本当に小さな声になってしまった。
それでも彼には届いたはず……。
「……」
隼人は何も言わないままでいるから、ツグミは言葉にしたことを後悔した。
怒られるか呆れられる――そう思っていた時だった。
「何でそんな可愛いことを言うんだよ」
「え……?」
戸惑うツグミをよそに隼人の手の力が強くなっていく。
「お前に我慢させてたんだな……ごめん」
「でも……迷惑じゃない?隼人だって忙しいのに……」
「馬鹿。変に我慢しなくていいんだよ」
そう言って再度抱きしめてくれる隼人に、ツグミの瞳がにじんでいくようだった。
「今日は……会えなかった時間を埋めていい?」
「ん……」

隼人の言葉にツグミは頷いていて……自然と目を閉じる。
久しぶりの温もりは心地良く、感じていた寂しさを溶かしていた。
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プロフィール
HN:
文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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