乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
暁七
――ある日の休日。
「わ……」
目の前に並んだのはおはぎの山。
その山の一つを食べ始めると、口の中に甘さが広がる。
それはまさしく自分好みの味。
「美味いか?」
「うん……」
「そうか」
七海が美味しそうに食べる姿を見て、作り手の暁人は満足そうに笑っている。
暁人はすごい。
七海が食べたいものをあっという間に作ってしまう。
彼に作れないものはないのかと思うほど。
まるで魔法の手だといつも思っていた。
七海がおはぎの山に夢中になっている中で、ふと暁人は食べてないことに気づく。
「暁人は食べないの?」
「ん?ああ……一個は食べた。結構腹持ちがいいからな……これ。すぐに腹にたまる」
「そう?私はまだ食べれるけど……」
「すごいな……食べ過ぎるなよ」
「暁人の作るものは美味しいから……いくらでも食べれる気がする」
「大げさだな」
そんなことを言いながらも暁人は嬉しそうだ。
そんな顔を見るだけで、こちらまで嬉しくなる。
「ほら……口についてる……子供かよ」
「……む……」
子供じゃないと反論しようとしたところで……何も言えなくなる。
七海の口についてた餡を暁人が自分の手で拭い、そのまま舐めていたから……。
指摘したらきっと暁人は卒倒しそうだ。
無意識は恐ろしい。
じわじわと……意識してしまうのはこちらだけだ。
「……」
「やっぱり……甘すぎたか?」
「……」
「七海?」
「……甘い……かも」
顔を覗き込んでくる暁人に返せたのは……それが精一杯。
七海は誤魔化すように再びおはぎを食べ始める。
けれど……次に食べた時は……よく味がわからなくなっていた。
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文月まこと
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自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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