オビ→白雪。
アニメ楽しんでますよーー。現在の展開が楽しみで仕方ないです。
――それはある日のこと。
リリアスで作業をしている中で、不意に言われた言葉。
薬室に現れたユズリが唐突に言い出した。
「オビ君って、白雪ちゃんのこと『お嬢さん』って呼ぶんだね」
そう指摘されて、白雪もオビもふと手を止めて視線を合わせる。
「気がついたらそんな感じだったよね、オビ」
「うーん、そうだね。出会いが出会いだったからなぁ」
「あー」
「?」
二人が出会いの頃を思い巡らしていると、ユズリは当然ながらも首を傾げている。
「昔から呼んでたのがそのまま定着した感じだね。今さら変えるのも何か照れくさいよね、お嬢さん」
「確かに。私ももうオビの呼び方に慣れちゃったからなぁ……」
「なるほど。もう結構付き合いが長いんだね」
「そうですねっ……」
「……お嬢さん、そろそろ時間だよ。シダンさんに呼ばれてるんでしょ?」
「そうだったっ」
慌ただしく立ち上がり、その背中を追いかけながらユズリに声をかけられる。
「オビ君は白雪ちゃんの名前を呼びたいって思わないの?」
「さぁね」
ユズリの言葉をすり抜けて、オビは白雪の背中を追いかけた。
初めは刺客と標的。
次に伝令役……そして騎士。
気がつけば……白雪の傍にいるのが当たり前になっていた。
傍にいることを望み、何かあれば必ず助ける。
それが自分の立ち位置。
白雪の隣にいるべき主は――今は遠くの地にいるのだから……。
名前は呼べない、呼ばない。
名前を呼べばきっと……留めていた想いが溢れてしまう。
きっと……自分の身の内に浸透していくだろう。
……それは自分の中で譲れない境界線。
もう手遅れだろうけど――。
先を行く白雪が振り返って、こちらへと手招きをする。
「オビ――早くっ」
「今行くよ、お嬢さん」
名前を呼べない、呼ばない。
けれど……自分の名前を呼ばれれば……それだけで満足なんだ。
同人活動も行っています。