乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
秋庭×真奈
朝の身支度のため、真奈は鏡の前に立っていた。
「うーーん、もう少し……」
「もう少し……なんだよ?」
「た……高範さんっ。いつからそこに?」
真奈の後ろから声が聞こえ、振り向くと秋庭がこちらを見ている。
背後に気づかなかったのと呟きを聞かれたので、真奈は少し動揺していた。
「少し前からだ。お前がぶつぶつ言ってるから」
「聞いてたんですかっ。もうっ」
「聞こえたんだ。ずっと鏡の前で何やってんだ?時間なくなるぞ」
「……考えてたんですよ」
「何を?」
真奈は少し言いづらそうに、言葉を続けた。
「私も、もう二十歳過ぎたのに、あんまり変わってないなって。
それで、もう少し大人っぽくなりたかったなぁーって思ってたところです」
「…………」
真奈の言葉に秋庭は何も言わず、ただ動いて。
――ビシッ。
「あいたっ」
真奈は攻撃された額を押さえて、秋庭を睨みつけた。
「もう、何するんですかっ!!何で、デコピン……しかも結構痛いし……」
「お前が鈍いからだ」
「何がです!!」
真奈は攻撃された理由が全くわからない。
「誰が教えてやるか。馬鹿」
「高範さんっ!!」
真奈は全くわかっていない。
無自覚にも程がある。
秋庭は少し頭が痛くなりそうだった。
真奈自身は全くわかっていないが、この数年で少し大人っぽくなった。
艶が出てきたというか、女らしくなった。
それはある意味、自分のせいでもあると秋庭は思っている。
だが、そう思うのは秋庭だけではなく、隊の中にも何人かいるらしい。
少しは自覚して、他の男の目を惹くのは勘弁してほしいのに。
真奈は全くわかっていない。
これでは自己防衛もままならない。
「大体、何でそんなに大人っぽくなりたいんだよ?」
秋庭は、話の矛先を変える。
突然話を振られて、真奈は慌てる。
「え……と。それは……」
「それは?」
「高範さんの隣にいても……は……恥ずかしくないように」
「…………」
真奈は秋葉との年の差を気にしている。
それはずっと変わらない10の差。
今までは、並んでも妹とか被保護者とかでしか見られなかった。
そうではなくて、秋庭の隣にいても違和感がない女になりたかった。
「真奈」
「はい?」
「お前は今で十分だ」
「たか……んっ」
秋庭は真奈を上に向かせると、その口を塞いだ。
突然のキスに驚きつつも、真奈は素直に受け入れる。
「やっぱり色々ずるいですよ。高範さんは」
「ずるいのはどっちだ」
真奈の言葉は時々、とんでもない力を持っている。
それが無意識なのが、恐ろしいところだ。
また、秋庭も不意に自分の心を揺さぶってくる。
明らかに経験の差がでて、真奈は少し悔しい。
けど、それでも結局は嬉しいのだと自覚していた。
「お前はそのままで十分…………いい女だよ」
秋庭はそう、真奈に囁いていた。
~fin~
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文月まこと
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女性
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乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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