乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
秋庭×真奈。
―――彼はどう思っているのだろう?
私の事を。
塩害の結晶の破壊を終えてから数ヶ月。
世界は徐々に変わり始めている。
それを肌で感じているのと同時に、自分にも変化が訪れた。
立川の駐屯所の宿舎で、未だ秋庭と真奈はその場所にいた。
秋庭は陸自に戻り、真奈も自分に出来る事を行いながら、日々を過ごしていた。
一日が終わる頃、秋庭が部屋に戻ってきた。
その表情は少し、面倒な。
「真奈」
「秋庭さん、どうしたんですか?」
「今度は伊丹に行くことになった……」
「え……伊丹って?」
「関西のほうだ。しばらくはそこで体制を整える。結晶の処理もあることだしな」
「そう……なんですか」
秋庭が任されるという事は、それだけ大変な業務だということが真奈にもわかった。
「出発は明後日だ。準備しとけよ」
「はい……っ」
秋庭の言葉に、真奈は安心する。
自分も一緒にいてもいいのだと、改めて確信する。
相変わらず好きだとか愛してるとも、はっきりとした言葉はない。
だが、以前よりも、秋庭が真奈に対して雰囲気が柔らかくなった気がする。
自分の見当違いでなければ。
「ただ……な。道中結晶の処理状況を確認しなくちゃならない……」
「あ……」
秋庭の表情が途端に曇ったのは、真奈の身を案じてのことだった。
真奈は以前、結晶を集中的に見てしまっている。
その事を秋庭は気にしているのだ。
「悪いがお前には無理な要求をする。知らない場所に行く時は、目を閉じていろ」
「?」
「外にいる間は塩を見ないでほしい」
「秋庭さん……」
「俺が恐いからだ。俺が恐いから見ないでくれ」
秋庭は真奈に塩害の影響が出るのを、恐れている。
自分の前から、消えていなくなることをずっと恐れている。
こんな、完璧な、大人の男が。
だったら、自分が言うことはただ一つ。
「はい、わかりました」
真奈は秋庭に向かって、笑顔で頷いていた。
貴方のためなら、どんなことを強いられても大丈夫。
そんな意味をこめて。
「真奈……」
「あ……秋庭さんっ」
秋庭は真奈を自分の元へと引き寄せた。
その行動に未だに慣れない。
秋庭は真奈を上に向かせると、そっと口づけた。
「……っ」
唇から伝わる温かさに、心地よくなってきて。
秋庭は言葉の代わりに、唇でその想いを伝えている。
―――そんな風に思うのは、自惚れだろうか?
でも、その力強いの腕の中は、
真奈が一番安心出来る場所だった。
~fin~
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文月まこと
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乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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