忍者ブログ
乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
2024/05月
≪04月  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  06月≫
[526] [525] [524] [523] [522] [521] [520] [519] [518] [517] [516
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

最新72話のやりとり。

コミックス派の方はご注意下さいませ。





「あの……陛下」

「何だ?」

「あの……自分で歩けますから……そろそろ下ろしてください」

「いや……酷くなったら大変だから……このままだな」

「ッ!!」


また失敗に終わる。


謎の密偵が現れ、隠れようとした夕鈴が自分で足をひねらせて数刻。

今は後宮へと移動中だ。

その移動は夕鈴は黎翔に抱きかかえられての移動。

大丈夫だと言っても、黎翔は夕鈴を離そうとはしなかった。

何度言っても、黎翔は首を縦に振らない。

夕鈴は抱き上げられたまま、その近さに真っ赤になってしまう。


「もう……大丈夫ですよ?」

「……」

にこっと笑いかけても黎翔はどこか不安げな瞳をしている。

きっと自分の身を案じているのだと思うと……夕鈴の心はぎゅっと掴まれたようだ。


危険から遠ざけたはずなのに……またも危険と隣り合わせ。


そしてそれを自分のせいだと責めているに違いない。

だから過保護になってしまうのも仕方ないのだと――夕鈴は納得した。


――が。

「でも……この格好を色んな人がすごい見てて……困ってるみたいなんですけど」

「見せつけておけばいい」

「いや……それはさすがに」

王が妃を抱き上げながら移動しているのだ、その状況に周囲も困惑しているのが夕鈴にはわかる。

気にしないフリをしてくれてはいるが……明らかに困っている。

一番困っているのは、その渦中にいる自分だが……。


けれど……。

この状況がもう変わらないのなら……もう開き直るしかない。

夕鈴はその黎翔の胸へと甘えるようにすり寄せてる。

普段ならこんな風に自分からは甘えられないから……。

「夕鈴?」

「え……と」

「こんなところで甘えてくるとは……試してるのか?」

「し……してませんよっ」

黎翔は楽しそうに笑っている。

その距離にこちらとしては爆発寸前だ。

な……何をもう……っ。

こちらはもうドキドキとしているのに……。


狼の腕の中にいる兎は、端から勝ち目などないのだ。


そんな事を夕鈴は身を持って思い知っていた。




 

PR
この記事にコメントする
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (チェックを入れると管理人だけに表示できます)

Powered by Ninja Blog    template by Temp* factory    phot by Abundant Shine    icon by cherish

忍者ブログ [PR]

プロフィール
HN:
文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
pixiv
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カウンター
ブログ内検索