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乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
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隼ツグ



それはほんのいたずら心。
「あ」
たまたまキッチンに向かう途中で、ツグミは隼人の姿を見つけて足を止める。
隼人はビリヤードのキューを持っていて、その視線はビリヤード台に向けられていた。
彼は背を向けていて、こちらには気づいていない。
これは……いい機会かもしれない。

(前はすごく驚かされたしっ)
以前、唐突に後ろから抱きしめられて、すごい驚いた。
全く気配は感じなかったし、しばらくは彼の腕の中。
『も……離してっっ』
『お前隙がありすぎ』

そう言って全く離してもらえなかったことを思い出す。
(今なら、その仕返しが出来る……かも)
同じように後ろから抱きついたら、きっと隼人だって驚くはずだ。
あの隼人を驚かせることが出来たら――、そう思うだけで心が弾む。

ここは慎重に、物音を立てないことが肝心だ。
(一歩、一歩慎重に……)

ドキドキしながら隼人の背中に近づき、掴める位置まで来た時――。
「えいっ」
「……っ」
ツグミは勢いよく、隼人の背中へと抱きついた。
「そう……きたか」
「驚いた?」
目を輝かせて期待を込めて言うツグミに隼人は……。
「ははっ……もう我慢出来ない」
「???」
何故か……思い切り笑っていた。
「お前気配隠すの……下手だな」
「え?」
「思いっきりバレバレ。足音とか」
「え……ええ?」
「何するのかと思って様子を見てたら、まさか抱きついてくるとは」
「っ!!」
どうやら隼人は初めから気が付いていたらしい。
驚かせることは失敗に終わった。
「隼人を驚かせたかったのに……この前はすごく驚いたから……」
「残念でした」
「あ……もうどくね」
抱きついていることも、自分のいたずらがバレてしまったこともとても恥ずかしい。
しがみついていた手を離そうとしたが……その手を思い切り掴まれてしまった。
そして、隼人が身体の向きを変えれば抱き合う形になる。
「は……隼人?」
「飛んで火にいる……ってやつ?逃がさないよ」
「……っ」

その声に甘さが含まれ、ツグミの力が次第に抜けていく。

(初めから……敵うわけない……でもいつか……隼人を驚かせてみたい)
ツグミは隼人の腕の中で、そんな風に思い巡らせていた。
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プロフィール
HN:
文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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