ノルンノネット
駆✖こはる 6月のラヴコレで無配したものです。
「…………」
「……こはる、怒ってる?」
「…………」
(怒ってるな……これは)
険しいこはるの表情に、駆はため息しか出ない。
普段は明るく笑い、怒ることなど滅多にしないこはる。
だが……、普段怒らない人間ほど……怒ると厄介だ。
(まあ……俺が悪いんだけど……)
体調が悪いのにも関わらず、それを隠して畑仕事をしていた。
何とか体調は完治したものの、待っていたのはこはるの怒り。
ここはもう下手な小細工よりも、素直に謝ったほうがいい。
「こはる……ごめん、悪かったよ」
「…………」
「こはる……俺は……怒った君の顔も好きだけど……笑顔の方が好きだな」
「…………」
「君と話せないのが……何よりも辛いよ……こはる」
「…………っ」
「こはる?」
「駆くんは……ずるいです」
「ん?」
「そんなふうに言われたら……怒れないですよ」
「こはる……」
か細い声で言うこはるを、駆は逃さないように抱きしめる。
こはるは抗うこともせず、その腕を掴んだ。
「ちゃんと……身体は大事にしてくださいね」
「うん……本当にごめん」
「私も……駆くんと喧嘩したくないですっ。怒りたく……ないです……。嫌われたくないです……駆くんに」
「それも……俺が悪い」
こはるは常に人に気遣う。
人が自分から離れて、独りになんてなりたくないと心から思っている。
だから……自分の行動に常に気を配っている。
それが……こはるの利点でもあるけど……。
でも……。
「こはる……」
「はい……」
「怒りも悲しみも……嬉しさも喜びも……全部俺に伝えて……」
「でも……」
「どんなことをぶつけてきても……君を嫌ったりしない。一人に……しないから……」
「駆くん……」
「ね、こはる」
「はいっ」
駆の言葉に、こはるは満面の笑みを見せる。
それは……駆の好きな……こはるの表情だった。
~fin~
同人活動も行っています。