乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
子荘介✕子信乃
荘介は一歩距離を置く。
その距離が信乃は嫌いだった。
昼間……気分転換にと限られた時間、荘介が一緒という条件付きで、信乃は散歩に出かけた。
「やっぱ気持ちいいな、外は」
「…………」
上機嫌な信乃とは対照的に、荘介は不満顔。
「何か機嫌が悪いな、荘介」
「当たり前です」
「ん?」
「まだ身体は本調子じゃないんですよ。それなのに散歩に行きたいだなんて……また熱でも出したら……」
「大丈夫だって」
「信乃の大丈夫はあてにならないんです」
荘介は散歩であっても、信乃をあまり外には出したくないらしい。
すぐにでも屋敷へ戻りたいのが、信乃にはわかった。
そして、自分のすぐ後ろを歩く荘介に信乃は不満だ。
信乃が立ち止まると、荘介も止まる。
「信乃?」
「……荘は何が不安?」
「え……」
「俺は……今ここにいるのに、さ」
「信乃……」
外に出てから……いや外に出る前からも……荘介はずっと不安そうにしていた。
何か思うところがあるのもかもしれない。
そう思っていると、荘介が口を開く。
「信乃がどこかに行ってしまいそうで……不安なんです」
「荘介……」
「どこかに行ったら……信乃は戻ってこないんじゃないかって……」
「………」
荘介の抱えている不安。
信乃が倒れることではなくて……信乃がいなくなること……。
それが現実には起きてほしくなくて……荘介は常に不安を抱えている。
「…………」
信乃はギュッと荘介の手を掴んだ。
「信乃?」
「だったらさ……荘介が俺を捕まえといてよ」
「…………」
「俺がどこかに行かないように掴んで、離さないでいて」
「信乃……」
「だからさ……そのためには……一緒の速度で歩いてほしい……」
「わかりました……」
荘介もまたギュッと握り返すと、がっちりと繋がれていく。
「離しませんから……」
「……うん」
そう言って2人は散歩を再開させる。
今度は同じ速度で……。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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