月への祈り。

蒼→信乃　ですが、信乃は出て来ません。

お題サイト　『恋したくなるお題』様より
【未病で末期な恋心】から『どうか今、君が泣いていませんように』

「……信乃」

ポツリとその名前を何度口にしたのだろう。

だけど……いつも返事はない。




再会した時、憎らしくて……それでも喜びが勝った。


なのに……信乃は。

『お前は俺の……荘介じゃない』


荘介であって、荘介じゃない存在。

でも、確かに荘介でもある。


「……信乃」


何度口にしても返事はない。

だけど……呼ばずにはいられない。

求めずにはいられない。

「……信乃」

その名を口にして……いつか返事がほしい。

これ以上……傷つかないように……。


俺は……信乃と同等になるから……待っていて。


もう……泣かせたくないから……。

だから……力が欲しい。



蒼は義の玉を月へとかざしながら、そう祈らずにはいられなかった。






～fin～