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乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
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昔、蒼が表に出てきていて信乃と対面したら……という話です。








その世界が一瞬、鮮やかになった。


「……何だ、これ」

それは不意に起きた。

『荘介』の奥底で眠っていたはずなのに、唐突に目覚めた。


本来の荘介である……『俺』が。




作られた『荘介』は、今は引っ込んでいる。

「今は……俺が表に出てるのか……」

偶然か気まぐれか。

何にせよ、ようやく自由になった。


「――荘介、どうしたんだ?」

「っ」


その声を聴いて、固まってしまった。


目の前の犬塚信乃という……存在に。



『荘介』の目から見ていたから、信乃の存在は知っている。

『荘介』が信乃に心惹かれていることも。


今この場で、『俺』という存在を見せつけたらどうなるのだろう?

「荘介?大丈夫か?」

だが、心配そうに見つめている信乃に、その考えは消えた。

「いえ……大丈夫です……信乃」

気がつけば『荘介』を装い、何事も無く振舞っていた。

「そっか。でも荘介は……体調悪くても隠すからなーーー」

「大丈夫です……」

「……」

ジッと大きな目がこちらへと向けてきた。

「何か……荘介。いつもと違う?」

「!!!」

「やっぱり風邪か?」

その小さな手のひらが額へと触れる。

確かに、その温もりを感じた。

「うーん、熱はないみたいだな」

「…………」

その手のひらがそっと離れる。

どこかそれが名残惜しく感じた。

「何かあったら言えよ」

「信……乃」

「ん?何……荘介」

名を紡いでも、信乃の口から出るのはあの『荘介』だ。

でも……わずかでも自分の存在に気づいてくれたことが嬉しい。

「信乃……」

その名をもう一度口にした時…。

ぐらりと世界が揺れる。

自分の意識が……どんどん落ちていくのがわかった。



表に出れたのはほんの一瞬。

すぐにあの『荘介』に戻ってしまった。





それは……ほんのひと時の話。


ひと時だけど……夢のような時間だった。




~fin~


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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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