コミックス最新刊、5巻の 小悪魔の話の その後です。
のざちよ。
コミックス未読な方は、ご注意下さい。
小悪魔作戦のあと、野崎との関係には未だ進展が見られない。
少しだけ、意識してくれたようにも思えたけど……。
いつも通りの日常に戻ってしまった。
(やっぱり、もっと大人の魅力を出した作戦のほうがいいのかな?)
計算されたものとか、新たな作戦とか。
また、新しいものを考えた方がいいかもしれない。
自分の原稿のベタが終わって休憩していたのに、考えていたのは別のことだった。
「うーん」
「佐倉、どうかしたか?何か原稿にでも問題があったか?」
「え?な、何でもないよっっ」
原稿中の野崎に声をかけられて、千代は慌てた。
どうやら顔と声に出てしまったらしい。
言える話でもないので、千代は必死に誤魔化す。
「そうだ、佐倉聞いていいか?」
「何?野崎くん」
「……何で小悪魔が流行ってたんだ?」
「っ!!」
友人の結月のマネをした、小悪魔作戦。
野崎自身も変貌した千代に驚いていたし、やっぱり気になったのかもしれない。
(の、野崎くんにアピールするため……なんて言えないよ!!)
さすがに、ストレートに言うにはハードルが高い。
「……ちょっとね。流行ってたんだよ」
「そうか……」
言い繕う千代に対し、野崎は特に疑問を持たずに素直に受け取ったようだ。
「何というか……その」
「野崎くん?」
「やっぱり、いつもの佐倉の方が……俺はいいと思うぞ」
「え?」
(いい……って?)
「普段の佐倉の方が……安心する」
「っっ!!」
不意に言われた野崎の言葉に、千代は動揺した。
「小悪魔な佐倉だと……どうも落ち着かなくてな。いつもの佐倉でいてくれないか?」
「う……うん」
他愛のない野崎の言葉。
だけど、千代はドキドキとして気持ちを抑えるのに必死だった。
(やっぱり、野崎くんの方が……上手だよーーー)
計算していない素直な野崎の言葉に、千代は今日も翻弄されていた。
~fin~
同人活動も行っています。