乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
――それは初めからわかっていたことだ。
「…………」
「……っ」
ちらりと隣を見れば、そわそわとした様子がわかる。
自分よりも小さなその子は、表情をくるくると変えている。
(……)
あるお店でフィギュアを選んでいたら、何故か野崎と佐倉が店に現れた。
どうやら漫画の参考にと買いに来たらしい。
野崎が選んでいるのを佐倉と待っているのだが、隣にいる佐倉は落ち着かない様子だ。
「どんな女の子を連れてきても、がっかりしちゃだめよーーーっっ」
不意に漏れた言葉はこちらへと向けたわけではなく、ひとり言のようだった。
「………」
その言葉を聞いて、何故か面白くない。
(野崎の好み……か。やっぱり好きなんだよな。野崎を……)
佐倉が野崎を好きなのは、端から見ていたらすぐにわかった。
常にその視線は野崎へと注がれているが、野崎は全く気づいていない。
佐倉が可哀想に思う反面、平行線のままのこの関係にホッとしている自分もいる。
(……何でこんな風に思うんだろうな)
佐倉が野崎を好きなのは、初めからわかっていたのに……。
それがとても面白くないなんて……。
そんな事を考えていると、野崎がフィギュアを持って戻ってきた。
「決めたのか?」
「ああ」
野崎が持ってきたのは、男のフィギュアだった。
「鈴木の資料用に……」
「がっかりだよっっ!!」、
そんな佐倉の叫びが聞こえてきた。
結局、野崎の好みはわからなかったが、野崎の隣にいる佐倉はとても楽しそうだ。
(……あ……)
2人を店から見送ると、何とも言えない気持ちだけが残った。
楽しい気分で店に来ていたはずなのに、今はその気持ちは消えている。
「やめた」
続けて買い物する気にはなれず、自分も店を出た。
2人はまだ買い物の続きをしているだろうかとか……余計な事ばかり考える。
「……くそ、何だよ」
この気持ちの正体を知りたいような……知りたくないような……。
そんな事を考えながら、家へと向かっていた。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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