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乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
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Collar×Malice 白石景之×星野市香


ようやくその時が、来た。
長いとも短いともいえるその期間は、すごくあっさりとしたもので。
罪を償う期間は終えた。
もちろん、罪自体は消えるわけではない。
でも、形式的な償いは今日で終えた。

俺は何もなく、無になった。
命じられるままに作り上げられた今までの経歴も、今までの人間関係も――自分の役割も。
全部、無になった。

――いや、そうじゃない。

他は消えても、彼女だけは存在していて……。

自分など忘れて欲しいと思う反面、彼女を焦がれる自分がいた。
だから、今日この日も彼女が来ているのかどうか不安はないと言えば嘘になる。

――それでも彼女は、いる。

そう確信していた。

その扉を開けた時、差し込んだのはまばゆい光。
そして……。

「白石さんっ」
「市香ちゃん」
自分へと抱き着いてくる人。
記憶にあった彼女――市香ちゃんはもうすっかり大人の女性と言える年齢になっていて、別人のようだ。
あの頃よりも大分美人になった。

それが……今までの年月を表している。
もちろん、自分も歳を重ねているが……。

けれど……あの頃の笑顔は変わらないまま、俺に向けてくれる。

「ただいま……市香ちゃん」
「お帰りなさい」
笑顔はすぐに崩れて……俺の腕の中で泣きじゃくっていた。
手を繋ぎながら歩くと、その温もりが伝わる。
その何気ないやり取りだけがずっと待ち望んでいたこと。

「白石さんはこれから……何をしたいですか?」
「難しことを聞くね」
14番ではなく――、白石景之としてこれからも生きる。
そして……隣には君がいてくれる。
それだけで十分だというのに……。
「何かないんですか?」
「うーん……君と遊園地に行きたいし、公園にも行きたいな……」
繰り返し繰り返し……あの中で思っていたこと。
色んな場所に君と行きたいし、君の笑顔を見たい。
そして、何よりも――。

「ああ……一番は君の卵焼きが食べたい」
「――はい」

俺がそう望めば……君は微笑んで頷いてくれた。
それはいつか訪れる未来の話――。
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プロフィール
HN:
文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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