乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
のざちよ夫婦の初喧嘩です(笑)
些細なことで、喧嘩した。
その理由も端から見たら、きっと他愛のないことなんだろうけど……。
二人で住み始めての初めての喧嘩。
元々、限られた部屋しかないので、先ほどまでいたリビングから寝室へと移動した。
「……」
べっどに腰掛けていると、すぐにドアの開ける音がした。
――千代だ。
「……」
千代は明らかに落ち込んでいて、泣きそうな顔をしている。
本当ならすぐにでも抱きしめたいが、今はまだ堪える。
ここですぐに折れては意味がない。
千代は俺の傍に寄ってきて、隣に座る。
ダメだ、隣を見ちゃいけない。
「……ごめんね、まだ怒ってる?」
「っ……」
いつもとは違う落ち込んだ千代の声にどきりとしつつ、俺はぐっと堪える。
く……結構辛いな。
「の……っ…………梅太郎くん」
千代は小さな声で、間違えながらも何とか口にした。
俺の名前を。
「もう……怒ってない」
「ほんと?」
「ああ」
千代はホッとした様子で、俺へと寄り添ってくる。
その温もりにこちらも安心した。
実は最初から怒ってない。
こうしたのはわざとで、これは俺なりの作戦だった。
千代はまだ、俺のことを『野崎くん』と呼んでしまう。
夫婦となったのだし、名前で呼んでほしいのだが……千代は上手く出来ずにいた。
そのための今回の作戦だ。
多少なりとも不機嫌な様子を見せれば、千代も焦るかもしれない……。
そうすれば……きっと俺を名前で呼んでくれると踏んで、今回の作戦に至った。
「やっぱり、まだ慣れないけど、頑張るから……ね」
「ああ、頼む」
「でも……時間がかかっちゃうかも……」
「?何でだ?」
「だ……だって、私にとって『野崎くん』は片想いの時から……ずっと呼んでた名前だもん。だから……すごい特別っていうか……その」
「っ……!!」
顔を真っ赤にして言う千代に、俺も動揺した。
特別……特別か。
これだから……千代には参る。
「だからすぐには切り替えできなくて……」
ごめんね と謝る千代の頭を撫でながら、俺はこう告げた。
「大丈夫だ」
「……う…梅太郎くん?」
「これからずっと一緒にいるんだから……名前で呼ぶ時間のほうが多くなる」
「……うんっ」
俺の言葉に千代は、照れながらも笑顔を見せてくれた。
fin
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文月まこと
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自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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