忍者ブログ
乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
2025/04月
≪03月  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  05月≫
[396] [395] [394] [393] [392] [391] [390] [389] [388] [387] [386
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

荘介✕信乃





「~~♪っ」

「…………」

荘介が隣にいる信乃を見ると、信乃がやたら上機嫌に見える。

(久しぶりに……お小遣いが出たから……とか?)

朝、里見から臨時で小遣いをもらう信乃の姿を見ている。

それもあって、信乃は街の中を歩くのを楽しみにしていたのだが……。

それにしても……。

「信乃、何だか嬉しそうですね?」

「えっ、そうか?」

「顔に出てますよ」

「そっかーー。つい……」

顔が緩んだと喜びを隠し切れない楽しそうな信乃に、荘介も嬉しくなる。

だが、その原因が小遣いなのは……少々複雑だ。

「そんなに里見さんから、お小遣いを貰って嬉しかったんですか?」

「ば、馬鹿!!俺は子供じゃないっ」

「だったらなぜ?」

「…………わかんねぇの?」

「…………はい」

「……………」

素直に告げた荘介に、今度は信乃の表情が一気に暗くなる。

その落ち込み具合に、荘介もまずいと感じた。

だが……、すでに遅かったらしい。

「し……の」

キッと自分へと睨みつける信乃の顔が、明らかに怒っていたからだ。

「荘介のばーか、にぶいっ」

「ちょ……信乃!!」

不機嫌な信乃は、そのまま走り出していく。

その小柄な身体は、すぐに人混みで見えなくなってしまった。

「………まずいですね」

自分だけの小さな神様の機嫌を、本気で損ねてしまったようだ。


荘介は……急いで信乃を探しに走りだしていた。





荘介の傍から離れて、信乃はトボトボと歩いていた。

さっきまでの楽しさは一気に吹き飛んだ。

「何だよ、荘介の馬鹿……」

荘介は何もわかってない。

自分の気持ちを……。

「確かに……里見から小遣い貰って嬉しかったけどさ」

大きな理由はそれだけじゃない。

それなのに、荘介はまるで子供扱いだ。

実際は一つしか変わらないのに……。

「……」

多くの人が行き交う街の中で……賑わう中で……どこか寂しい。

改めて、今は一人だと実感する。

2人で並ぶと心が弾んでいたのに、今は……ただ孤独でしかない。


「信乃」

「っ」

信乃が名前を呼ばれてふりかえると、その相手を見て……信乃は落胆した。

「……何だ、蒼か」

「何だとは酷いな」

信乃の態度にも、蒼は気にせずに笑顔で話しかけてくる。

「今はお前の顔見たくないんだけど……」

「何だよ、荘介にいじめられた?」

「っ!!」

「あ、図星」

蒼に指摘されて、動揺する自分がいた。

やっぱり同じ顔だから……?

「そ……そんなんじゃ……」

「あんな鈍感な朴念仁よりも、俺のほうが信乃を大事にするよ」

「…………俺は……それでも荘介がいいんだ」

蒼に囁かれても……思い描くのは……荘介だけ。

自分の心を占めているのは……荘介だけ。

「荘介は信乃を傷つけるのに?」

「……っ」

「余計な……お世話です」

「荘介っ!!」

息を切らした荘介が、信乃と蒼の間に割り込む。

「へぇ……。信乃を傷つけたくせに、よく追ってきたね」

「誰にも……信乃を渡す気はありませんっ」

「別にお前の同意は求めてないけどね」

蒼が持っている刀に手をかけた時、信乃は村雨を呼びだそうとした。

――だが。

「ここでは……流石に分が悪いか」

蒼はすぐに刀から手を離した。

ここは街の中。

多くの人が行き交う中だが、蒼にとってはそれはあまり気にならない。

それでも……留まったわけは……。

「信乃を巻き込むわけにはいかないからね」

「…………」

にっこりと信乃だけに送る笑顔は爽やかなのに、荘介へは目もくれない。

また、荘介も笑ってはいない。

そんな一触即発の中……蒼が告げた。

「またね、信乃。荘介に飽きたらいつでも言って」

「誰が飽きるか!!」

言いたいことだけ告げると、蒼は人混みの中にあっという間に消えていく。

「…………」

「…………」

残された2人は、先ほどのこともあって少々気まずい。

そんな中……口を開いたのは……。

「信乃……すみませんでした」

「荘介?」

「信乃を……怒らせてしまって……」

「や……。俺が勝手に怒っただけだし……」

よく考えてみたら、荘介は悪くない。

自分が勝手に浮かれて、怒っただけなのに……。

「俺が……楽しそうにしてた理由なんだけど……」

「はい」

こうして口にするのは……ちょっと……いや、かなり恥ずかしい。

だが、ここまで来て言わないわけにはいかなかった。

「ひ、久しぶりに……さ」

「はい」

「荘介と出かけられるのが……嬉しかっただけなんだ」

「…………」

最後には小声になってしまって……恥ずかしくなって……何だかいたたまれない。

「そうなん……ですか?」

「そうだよ、悪いかっっ」

もう自棄になって叫んでいたが、それでも恥ずかしい。

「確かに……俺は鈍いですね」

「……」

「嬉しいです、信乃」

「っ!!」

荘介はあまりにも嬉しそうに笑うから……信乃の恥ずかしさは吹き飛んでいた。

荘介がギュッと信乃の手を握る。

「荘介?」

「今度ははぐれないように……」

「ん……」

信乃は照れながらも……小さく頷いていた。




やっぱり荘介と一緒にいるのは、嬉しい。

荘介が嬉しそうだと、もっと嬉しい。


信乃は繋いだ手を握り返して、荘介と共に歩き出していた。






~fin~



PR
この記事にコメントする
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (チェックを入れると管理人だけに表示できます)

Powered by Ninja Blog    template by Temp* factory    phot by Abundant Shine    icon by cherish

忍者ブログ [PR]

プロフィール
HN:
文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
pixiv
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
カウンター
ブログ内検索