乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
荘介✕信乃
「~~♪っ」
「…………」
荘介が隣にいる信乃を見ると、信乃がやたら上機嫌に見える。
(久しぶりに……お小遣いが出たから……とか?)
朝、里見から臨時で小遣いをもらう信乃の姿を見ている。
それもあって、信乃は街の中を歩くのを楽しみにしていたのだが……。
それにしても……。
「信乃、何だか嬉しそうですね?」
「えっ、そうか?」
「顔に出てますよ」
「そっかーー。つい……」
顔が緩んだと喜びを隠し切れない楽しそうな信乃に、荘介も嬉しくなる。
だが、その原因が小遣いなのは……少々複雑だ。
「そんなに里見さんから、お小遣いを貰って嬉しかったんですか?」
「ば、馬鹿!!俺は子供じゃないっ」
「だったらなぜ?」
「…………わかんねぇの?」
「…………はい」
「……………」
素直に告げた荘介に、今度は信乃の表情が一気に暗くなる。
その落ち込み具合に、荘介もまずいと感じた。
だが……、すでに遅かったらしい。
「し……の」
キッと自分へと睨みつける信乃の顔が、明らかに怒っていたからだ。
「荘介のばーか、にぶいっ」
「ちょ……信乃!!」
不機嫌な信乃は、そのまま走り出していく。
その小柄な身体は、すぐに人混みで見えなくなってしまった。
「………まずいですね」
自分だけの小さな神様の機嫌を、本気で損ねてしまったようだ。
荘介は……急いで信乃を探しに走りだしていた。
荘介の傍から離れて、信乃はトボトボと歩いていた。
さっきまでの楽しさは一気に吹き飛んだ。
「何だよ、荘介の馬鹿……」
荘介は何もわかってない。
自分の気持ちを……。
「確かに……里見から小遣い貰って嬉しかったけどさ」
大きな理由はそれだけじゃない。
それなのに、荘介はまるで子供扱いだ。
実際は一つしか変わらないのに……。
「……」
多くの人が行き交う街の中で……賑わう中で……どこか寂しい。
改めて、今は一人だと実感する。
2人で並ぶと心が弾んでいたのに、今は……ただ孤独でしかない。
「信乃」
「っ」
信乃が名前を呼ばれてふりかえると、その相手を見て……信乃は落胆した。
「……何だ、蒼か」
「何だとは酷いな」
信乃の態度にも、蒼は気にせずに笑顔で話しかけてくる。
「今はお前の顔見たくないんだけど……」
「何だよ、荘介にいじめられた?」
「っ!!」
「あ、図星」
蒼に指摘されて、動揺する自分がいた。
やっぱり同じ顔だから……?
「そ……そんなんじゃ……」
「あんな鈍感な朴念仁よりも、俺のほうが信乃を大事にするよ」
「…………俺は……それでも荘介がいいんだ」
蒼に囁かれても……思い描くのは……荘介だけ。
自分の心を占めているのは……荘介だけ。
「荘介は信乃を傷つけるのに?」
「……っ」
「余計な……お世話です」
「荘介っ!!」
息を切らした荘介が、信乃と蒼の間に割り込む。
「へぇ……。信乃を傷つけたくせに、よく追ってきたね」
「誰にも……信乃を渡す気はありませんっ」
「別にお前の同意は求めてないけどね」
蒼が持っている刀に手をかけた時、信乃は村雨を呼びだそうとした。
――だが。
「ここでは……流石に分が悪いか」
蒼はすぐに刀から手を離した。
ここは街の中。
多くの人が行き交う中だが、蒼にとってはそれはあまり気にならない。
それでも……留まったわけは……。
「信乃を巻き込むわけにはいかないからね」
「…………」
にっこりと信乃だけに送る笑顔は爽やかなのに、荘介へは目もくれない。
また、荘介も笑ってはいない。
そんな一触即発の中……蒼が告げた。
「またね、信乃。荘介に飽きたらいつでも言って」
「誰が飽きるか!!」
言いたいことだけ告げると、蒼は人混みの中にあっという間に消えていく。
「…………」
「…………」
残された2人は、先ほどのこともあって少々気まずい。
そんな中……口を開いたのは……。
「信乃……すみませんでした」
「荘介?」
「信乃を……怒らせてしまって……」
「や……。俺が勝手に怒っただけだし……」
よく考えてみたら、荘介は悪くない。
自分が勝手に浮かれて、怒っただけなのに……。
「俺が……楽しそうにしてた理由なんだけど……」
「はい」
こうして口にするのは……ちょっと……いや、かなり恥ずかしい。
だが、ここまで来て言わないわけにはいかなかった。
「ひ、久しぶりに……さ」
「はい」
「荘介と出かけられるのが……嬉しかっただけなんだ」
「…………」
最後には小声になってしまって……恥ずかしくなって……何だかいたたまれない。
「そうなん……ですか?」
「そうだよ、悪いかっっ」
もう自棄になって叫んでいたが、それでも恥ずかしい。
「確かに……俺は鈍いですね」
「……」
「嬉しいです、信乃」
「っ!!」
荘介はあまりにも嬉しそうに笑うから……信乃の恥ずかしさは吹き飛んでいた。
荘介がギュッと信乃の手を握る。
「荘介?」
「今度ははぐれないように……」
「ん……」
信乃は照れながらも……小さく頷いていた。
やっぱり荘介と一緒にいるのは、嬉しい。
荘介が嬉しそうだと、もっと嬉しい。
信乃は繋いだ手を握り返して、荘介と共に歩き出していた。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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