乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
5月のスパコミで無料配布した代物です。四白視点の荘信です。
――犬塚家で飼われて、早十年以上。
年齢はもう数えるのを忘れましたが、名前は『四白』と言います。
どちらかと言えば、年寄りに入りますが……まだまだ若犬には負けませんよ。
毛の艶もいいですし、ね。
動きもいいですし、主も手入れをしてくれています。
最近の心配はそろそろ夏が近いので、ノミが増えることでしょうか?
この時期を思うと、憂鬱になりますねぇ。
ああ、そんな私の悩みは置いておいて。
現在は訳あって、主の幼なじみの犬川荘介という人物と身体を半分共有しています。
その仕組みはちょっと秘密ですが、今は深く考えないでください。
身体を貸していますが、実質の主導権は荘介に渡してあります。
私はどちらかと言えば、傍観者……いえ傍観犬ですね。
私は犬なので、彼とは話せませんが彼の想いは敏感に感じ取ってます。
今日はそんな彼と……彼の大事な人とのやり取りでも見てみましょうか?
荘介は状況によって本来の人の姿であったり、私の姿であったりします。
その方が色々と都合が良いようですね。
荘介が人の姿でも傍観できるので、こちらとしては楽しいですが……。
そんな荘介は人の姿で……ある人物を探しているみたいです。
その相手は……もちろん。
「信乃、ここにいましたか?」
「あ、荘介」
荘介の目線の先には、小柄な少年。
私の現在の主でもある犬塚信乃がいます。
信乃は部屋のベッドで寝っ転がってますね。
本来は彼の父が私の主なんですが、彼はもうこの世にはいないので信乃が現在の主です。
彼の父と同様に……信乃と荘介の成長を見てきたので、最早2人は私の子供みたいなものですが……。
「何かあったの?」
「ええ。パンケーキが出来たので、呼びに来たんです」
「パンケーキ!!食べるっ」
「だったら……起きて手を洗ってください」
「うん、わかったっ」
信乃は瞳を輝かせて、ベッドから飛び降りています。
ああ、荘介の心がわずかにですが乱れてますね。
信乃の笑顔に、荘介も嬉しさを感じているのが伝わってきます。
荘介は昔っから信乃には甘かったですが、更に甘くなったようにも思えます。
沢山のパンケーキを前にして、信乃はキラキラと満面の笑みを向けています。
もうああなると、他の事には目が入らなくなってますね。
信乃は勢いよくパンケーキを食べ始めています。
そんな信乃を見て、荘介は……。
「ほら、信乃。そんなに慌てると……詰まらせますよ」
「平気だって……ぐっ」
「だから言ったでしょう。これ、飲んでください」
案の定、詰まらせてしまう信乃に荘介が飲み物を差し出します。
信乃はそれを受け取って、口の中の物を流しこんで落ち着いたようです。
やれやれ。
「はぁ……、やばかった」
「信乃、食べる時はよく噛んでください」
「はいはい」
「信乃っ」
「わかったよ。母親じゃないんだから……」
「………」
―――荘介、苛立ってます。
口に出さない辺りは彼は大人ですが、荘介は時々信乃に対して小言を言っていますね。
甘くもあり厳しくするのが、荘介の方針のようです。
「ほら……口元についてますよ」
「わ……、荘介」
「甘い……ですね」
「だからって、口で舐めなくてもいいだろっ!!」
「つい……ね」
「荘介っ」
「はいはい。冷めますから食べてくださいっ」
「う……うん」
…………。
最近2人はこんな感じです。
信乃が何かをする度に、荘介が信乃を甘やかしています。
どうやら、荘介は信乃が可愛くて仕方がないようです。
信乃も荘介に触れられて、真っ赤にしていますし……。
どうやら2人の仲はますます深まってます。
荘介が信乃に抱く感情は……前から知っていました。
彼を切なく見つめ、内に様々想いを秘めている事も。
信乃に対する恋情はもちろん。
憎しみ・悲しみも。
あとは彼を切望しすぎて……狂おしいほどの気持ちも抱えていたことも。
だから、信乃と上手くいってホッとしています。
親心としては複雑ですね。
何か大事な子供を取られちゃったような……。
娘を嫁に出したような気分です。
いえ、厳密には娘でもないし、信乃は子供じゃないし……、ましてや私は犬なんですが……ようは気持ちです。
……と、話が大分それましたね。
パンケーキを食べ終えたら、何やら2人は出かける事にしたみたいですね。
ああ……教会に行くんですか。
教会でお世話になることが決まって、2人……いえ特に荘介は慌ただしい日々を送っているようですね。
教会の手伝いをしたり、教会の建物の修繕をしたり、忙しく遣われています。
彼は何でも出来るんですが、何でも引き受けてしまうのが困りものですね。
だって……。
「今日も教会で修繕?」
「ええ。屋根の方と……少し中も片付けないと……」
「ふうん」
信乃はそんな荘介に少しご不満。
だって、荘介に相手をしてもらえないですからね。
荘介も甘やかしてますが、信乃も甘えてます。
時々相手してあげないとむくれますよ、荘介。
それをわかってるのか、わかっていないのか……私でもわからない時があります、困ったものですね。
「信乃?」
「……別に、そんな毎日行かなくてもいいじゃん」
「一応、里見さんに言われてますからね。ちゃんと仕事は果たさないと……」
「……」
「今日は信乃はどうします?」
「……一緒に行く」
「はい、わかりました」
むくれながらもついてくる信乃に、荘介はご満悦。
何だかんだ言っても、荘介と一緒にいたいようです。
微笑ましいですね。
2人が並ぶと身長差がわかります。
荘介は本当に成長しましたが……信乃は……。
いえ……この辺の話をすると湿っぽくなりますので、止めておきましょう。
教会に着くと、何やら来客でしょうか……。
こちらに気づきましたが……
「あ、犬川さん。こんにちは」
おや、最近良く教会に来る女性ですね。
お祈りでしょうか?
何やら……荘介に包みを渡しています。
「これ……差し入れなんです。良かったらどうぞ」
「ありがとうございます……子供たちも喜ぶと思いますよ」
「…………」
…………あ―――。
どうやらこの女性は、荘介に心を寄せているようですね。
荘介が笑顔で対応している横で、信乃が面白くなさそうにしていて……。
ああ……これはまずいですね。
結構信乃は心が狭いし、独占欲が強いんです。
荘介……、わかってます?
「…………」
女性が去った後も、信乃はまだむくれてますね。
掃除をする荘介に対して、椅子に座りながら信乃は微妙な顔をしていて……。
そんな信乃のわかりやすい変化に、気づかない荘介ではないです。
一旦掃除を中断して、荘介は信乃へと近づいていきます。
「信乃?」
「何?」
「妬いてるんですか?」
「そ……んなわけ……」
荘介に指摘されて、ウッと反応してしまう信乃。
その表情から、図星だとわかりますね。
そんな信乃を抱き寄せて、荘介が顔を近づけて……。
……。
…………。
………………すみません、説明しにくいです。
そして……見続けにくいというか……。
信乃は真っ赤にしていて、荘介を軽く睨んでいます。
荘介はそんな信乃の顔も可愛いと思っているのが、伝わってきます。
「荘介はずるい……」
「そうですか?」
「そうやって、すぐ機嫌取ろうとする……」
「そんなつもりはないんですけどね」
「荘介の……馬鹿」
「はいはい」
荘介がすごい喜んでいるようですね。
荘介の心の中は信乃でいっぱいになっているのが、こちらでは感じ取れます。
信乃も恥じらいながらも嬉しそうで……、すごい居づらいです。
「荘介、古那屋に行こうぜ」
「今日もですか?」
「だって、飯美味いもん」
「あんまり里見さんの負担をかけたくないんですけどね……」
そうは言っても、荘介は了承するところが甘い……。
結局は信乃の喜ぶ顔が見たいから、OKしてしまうようで……ふう。
古那屋へと行くと、信乃の表情がいきなり強張って……?ああ、成る程……。
「げ、現八」
「信乃、来たのか」
「ちょ……」
信乃に抱きつこうとしているのは、犬飼現八さんです。
憲兵隊隊長という肩書きを持っているのですが、彼は何故か信乃へと好意をよせているようで……。
「…………こんにちは、現八さん」
…………。
荘介、微妙にわかりにくいですが……苛立ってますね。
表面に出さないから……伝っていないけど……。
2人のやり取りを見て、心穏やかではないようです。
信乃よりも独占欲が強いのは……荘介かもしれないですね。
「近づくなって……。荘、助けて」
未だに繰り広げられる攻防から逃れるように、信乃は荘介の背中へとしがみついてます。
荘介は現八さんと信乃の間に挟まれていて……。
「何で、いつも荘介ばかり……俺にだって懐いてくれてもいいだろ!!」
「嫌だっ……。俺は荘介がいいんだっっ!!」
「…………」
あ、心が弾んでますね……荘介、わかりやすいです。
「兄貴、いい加減にしろ」
仲裁に入ったのは、現八さんとは乳兄弟で古那屋の息子さんの犬田小文吾さん。
毎度行われるこのやり取りを、いつも止めてくれます。
「信乃、荘介。すぐに飯用意するから待ってろ……。兄貴はこっちだ」
「何するんだ、小文吾」
「いいからっ、ババアが呼んでるんだよ」
「…………」
ずるずると現八さんを連れて行く姿は慣れていて、さすが小文吾さん。
「行きますか」
「そうだな」
この2人にとっては、毎回の事ですから……今更動じませんね。
さて、古那屋のご飯は美味しいからとても楽しみですっ。
屋敷へと戻ってくると、信乃がベッドへとすぐに横になってます。
「何か……疲れたな」
「そうですね……」
荘介からもわずかに疲れを感じます。
あの後、やっぱり現八さんが乱入して一騒動ありました。
小文吾さんも今頃……疲れているんじゃないでしょうか?
信乃と荘介は帝都に来てから……多くの人と関わり合うようになって……多くの感情を感じているようです。
喜びも悲しみも……2人には様々な想いを感じ取っている。
特に信乃の周りはトラブルが多いから、荘介の心配もつきなくて……見てるこちらもハラハラします。
でも……知ってます。
2人は2人で一緒にいる……この時間をとても大切にしている事を……。
荘介がベッドへと腰掛けると信乃がその背中に身体を預けていて……。
「荘……」
「どうしました?」
「ん……ちょっと疲れたけど……こうしていると……安心するんだ」
「そうですか?」
「ん……」
「お疲れ様です……信乃」
ポンと頭を撫でると、信乃が気持ちよさそうに……はにかんでいて……。
あ、この空気……。
「信乃……」
「荘介……」
影が重なる2人に……またも説明しづらいというか……。
親としては複雑です……いえ、犬なんですけど……。
「荘……苦しいって」
「そうですか?そろそろ慣れてもいいと思うんですけど……」
「だって……そんな余裕ない……。ドキドキしっぱなしなんだよ」
「それは俺もですけど……」
「嘘だっ、いつも余裕じゃん」
「余裕に見せてるだけです」
「……………」
「全く信じてないようですね」
「だって……荘介上手な気がする……」
「器用なんです」
「……」
「だったらもっと……慣れさせてあげましょうか」
「ん…………」
ボスっとベッドが揺れる音が聞こえて……。
…………ああ、もうこれ以上は見ていられないですね。
今日はこれくらいにしておきましょうか?
我が子供たちに……幸あれ……。
~fin~
PR
この記事にコメントする
プロフィール
HN:
文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
同人活動も行っています。
pixiv
カテゴリー
リンク
カレンダー
カウンター
ブログ内検索