乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
恋人未満。
※シリアス
※シリアス
信じられない光景を見た。
「笠原っ!!」
堂上の声に反応せず、名前を呼ばれた者は反応しない。
その最中に良化隊の攻撃は、先ほどよりも増していく。
攻防が続く中、堂上は郁の元へと急いだ。
郁は凶弾に倒れたまま動かず、多量の血だけが流れていく。
わずかに息があることが、堂上にはわかった。
このままでは取り返しのつかないことになる。
堂上の中で、最悪のシナリオが駆け巡った。
そのシナリオを防ぐために、堂上は必死に近づいていく。
だが、追い討ちをかけるように、良化隊が郁に銃口を向ける。
「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーっ」
堂上は手を伸ばすが、そこには近づけない。
その時、引き金は引かれた。
最悪のシナリオが現実になった瞬間だった。
「ぁぁぁぁぁーーーー」
堂上はその場に崩れ落ちていた。
周りの音が遮断され、その世界は隔離された。
「笠原・・・っ。笠原っ」
堂上はその名を必死に繰り返す。
反応はないとわかっていた。
それでも・・・。
「教官っ」
「!!!」
名前を呼ばれて、顔を上げるとそこには・・・。
「堂上教官、大丈夫ですか?」
「な・・・何がだ?」
「何かすごいうなされてましたよ?悪い夢でも見たんですか?」
「ゆ・・・夢?」
堂上が辺りを見回すと、そこはいつもの特殊部隊の一室だ。
周りには郁以外いなかったが、それは普段通りの光景だった。
「教官・・。何か顔色が・・・ちょっとすみません」
郁の手が不意に堂上の額に触れる。
その手からは、温もりが伝わってくる。
これは・・・確かに生きている証。
堂上の心情が少なからず、落ち着いてくる。
(あれは・・・夢か)
だとしたら、かなり性質の悪い夢だ。
夢であることに安堵し、堂上は行くにはわからないように息を吐く。
「熱はないみたいですね」
郁の手が離れ、じっと考え込む。
「別に何でもない。ちょっと、夢見が悪かっただけだ」
「そうですか・・・。でも何かすごい辛そうでしたよ。一体どんな夢だったんですか?」
「・・・・・・・・・」
堂上の夢の内容など言える訳がない。
堂上はじっと郁を見つめ、それから・・・。
「お前が気にする事じゃない。それよりも仕事は終わったのか?」
「なっ・・・。心配したのにーーーっ。もう、これ日報です!!」
「ああ。お疲れ」
郁は日報を渡すと、寮へと帰宅していく。
そんな郁を見送り、堂上は深いため息をついた。
あり得ない未来ではない。
抗争が続けば、負傷をすることは覚悟の上だ。
それが重傷になろうと、死ぬことになろうとも・・・。
「そんなことには、させてたまるか」
堂上は拳を握り締めていた。
あの温もりを守るために・・・。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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