乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
恋人同士。
たった5cm。
そう簡単に言うけれど。
時々それが辛くて堪らない。
(あっ)
特殊部隊の事務室へ行く途中、郁はふと足を止めてしまった。
その視線の先には、堂上。
そしてその隣には、見知らぬ館員の女の子。
恐らく業務部の誰かだろう。
郁が気になったのは、2人で並んでいる姿だった。
その女の子は堂上よりも、背が低い。
標準的な女の子だ。
身長差がとてもバランスよく、似合っている。
堂上よりも背が高い自分とでは、大違いだ。
時々郁は170もある身長が、嫌になる。
戦闘職種では武器にはなるが、女としては複雑だ。
あと少し身長が低ければよかった。
そんな事を郁は考えてしまう。
今まで身長が原因で振られる事は多く、少しコンプレックスになっている。
だから堂上と並んでも違和感のない女の子が、とても羨ましくなる。
「ーーー郁?」
「え・・・あ、堂上教官!!」
ぼんやりと考えていると、堂上に声をかけられた。
「どうした?こんなところで立ち止まって。さっきから散々呼んだんだが」
「す・・・すみませんっ」
様子のおかしい郁に、堂上は疑問に思ったらしい。
「何かあったのか?」
「いえ・・・何も」
元々郁は嘘が得意ではない。
何かあったのは、堂上にはバレバレだった。
「ちょっと来い」
「え?堂上教官っ」
そんな様子の郁を放って置く訳にはいかず、堂上は人気のないところへと連れて行く。
「で、何があった?」
「べ・・・別に何も・・・・」
「嘘付け。そんな悲しそうな表情をしてるくせに。騙せると思うな」
「・・・・・」
その堂上の言葉に、郁は言葉を詰まらせる。
堂上は、いつも敏感に郁の異変を察知する。
それが嬉しくもあり、辛くもあった。
「・・・怒らないですか?」
「ああ。言ってみろ」
「さっき、堂上教官と並んでいる女の子を見たんです。その子は背が低くて教官ともお似合いだなぁって。
私もあと10cm低かったらなって思ってました」
「・・・・・」
身長の話は堂上にとってタブーなのに、何でこんな話をしているのだろう?
これでは怒られても呆れられても、仕方がない。
「馬鹿が」
「え・・・・?」
郁が言葉を発する前に、堂上は郁を抱きしめていた。
「身長なんて今更気にするな。お前の身長があってこそ、その脚があるんだしな。その脚のおかげで
事件の解決に大きく貢献している」
「教官・・・・」
「そんな風に行動できるお前が、部下としても恋人としても・・・好きだ」
「・・・・っ」
堂上は、郁が思っているコンプレックスをわかっている。
自分よりも背が高い事を、気にしないはずはない。
でも、堂上にとってはそれも郁の魅力であり、好きな部分だった。
「だからそんな事を気にする必要はない。その身長があってこそのお前だろう」
「堂上教官・・・」
郁は堂上に自然と身体を預ける。
「それに・・・」
「?」
「こうして見るお前も嫌いじゃない」
「!!」
堂上は郁の隙をついて、一瞬のうちに口付ける。
郁はその行為に驚きながらも、堂上が与えてくれる幸せに酔いしれていた。
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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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