乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
恋人同士。
「あいたたたっ。痛いです、堂上教官っ」
「煩いっ。黙って我慢しろ」
医務室で郁は悲鳴を上げる。
勤務医が不在のため、堂上が代わりに郁の手当てをしていた。
「全く。女のくせに顔に傷作りやがって」
「でも、犯人は捕まったんだし・・・」
「それでも、これはないだろうが」
「・・・・・」
堂上の怒りに郁は黙るしかない。
そもそもの原因は、郁が巡回中に窃盗を働こうとした犯人を見つけた。
犯人は脱兎のごとく逃げ出したが、走りでは郁には敵わない。
捕まえる時に、犯人のナイフが郁の頬を掠めた。
見切ったものの、郁の頬から軽く血が流れる。
だが、それで怯む郁ではない。
すぐさま、犯人に打撃を与え犯人は御用となったのだが・・・。
傷を見た堂上が怒り、即効で郁を医務室へと連行したのだった。
「ほら、終わったぞ」
「あ、ありがとうございます」
郁の頬には絆創膏が貼られた。
血が流れたものの、傷自体は小さいもので堂上は安堵した。
だが、堂上の怒りは収まらない。
再び説教の時間が始まろうとしていた。
「お前は、怪我が多くて困る」
「そ、それは堂上教官だって言えないですよ!!小牧教官が言ってました」
「お前と俺だと違うだろっ。お前は女で、俺はお前に傷を作ってほしくない」
「っっ」
堂上の声から心配が伝わってきて、郁は罪悪感が芽生える。
「郁が血を流してるのを見て、肝が冷えた」
「ごめんなさい・・・」
もう謝るしかない。
自分の無茶な行動が、またしても堂上を心配させてしまった。
落ち込んでしまった郁に、堂上は郁の頭を撫でた。
「だが、上官としては誉めてやる。よくやったな」
「教官・・・」
その言葉に郁は安心する。
自分は、部下としても彼女としても大事にされている。
それがこんなにも嬉しいなんて。
「郁。お前はすぐに突っ走る奴だから、きっとこれからもこういう事があるんだろうな。
けど、それでもお前に傷があるのは嫌なんだよ」
堂上はギュッと郁を抱きしめていた。
「それは私だって同じですよ。私だって堂上教官に傷なんて作ってほしくないです」
逆の立場だったら、きっと自分も怒る。
今の堂上のように、心配して怒ってしまうんだろう。
堂上は、郁の絆創膏の頬にそっと口づける。
そうされると、とてもくすぐったい。
「んっ」
堪らず郁から声が漏れる。
堂上は郁の身体を離して、解放する。
郁は頬を押さえ、顔を真っ赤にしている。
「ど、堂上教官・・・。まだこれから仕事が残ってるのに・・・」
「これくらいはな」
堂上はしれっとした顔で言い放つ。
その余裕が郁には悔しい。
「ほら行くぞ、郁」
堂上は郁に手を差し出す。
郁は真っ赤になりながら、その手を掴んでいた。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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