乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
再会出来たものの・・。もうすぐ別れの時が迫り・・。「流離」の続き。
せっかく会えたのに・・、言葉が見つからない・・。
吉野から海へ来て、何も言えなかった・・。
昔の話を少ししただけで・・。
源氏の陣へ帰る途中、やっぱり何も話せなかった。
このままだと・・また・・。
「じゃあな」
「行かないで」
思わず望美は将臣を引き止める。
それは咄嗟の行動だった。
「だめだ・・もうすぐ、夜も明けちまう」
「まだ・・明けないよ」
「わかった・・今だけだからな」
そう言って将臣は望美を抱きしめた。
―――朝が来なければいいのに・・・。
いつもそう思ってた。
夢で会う時も朝が来なければ、ずっと一緒にいられるのに・・。
すぐに別れてしまう・・。
でも・・、また会えるって信じてた・・。
けど・・。
――次ぎ会う時は・・・。きっと・・。
朝が来なければいい・・。この温もりを失くしたくないのに・・・。
「望美・・・」
「ご・・ごめんね」
将臣の腕から望美は身体を離す。
悲しい別れだけど、悲しい別れにならないように・・・。
望美は笑った。
少しでも辛い事が消えるよう・・。
「そろそろ、行くぜ」
「うん」
その時・・・・・。
そっと唇が触れた気がした・・。
まるで夢のように・・・、消えていった。
将臣は歩き出す。自分とは違う道を・・。
望美はその後ろ姿を見つめた。
――以前とは違う。もう一緒には・・・いられないから・・。
けれど・・、それでも・・。
「将臣君!!」
「呼ぶな!!頼むから・・」
振り向かず将臣は歩いていく・・。
そして自分もまた・・。
将臣の姿はもう・・ない。
「・・・っ」
望美は声にならなかった。
涙で・・、もう何もわからなくなっていた・・。
―――側にいられなくなって・・・・、気がついた・・。
私は・・将臣君のことが・・・・好き。
好きなのに・・、側にいる事も・・・想いも告げる事も叶わない・・。
次ぎ会う時は・・・きっと戦場だから・・・。
雪だけが降っていた・・。
ただ・・、静かに・・。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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