乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
ED後。千尋の用意が出来るのを待っているアシュヴィンは…。
「おい……まだか?」
「もうちょっと……」
千尋は先ほどから真剣な面持ちで、ソレに挑んでいた。
「もう適当でかまわないぞ」
「ダメッ。ちゃんときちっとやらないと!!」
「そうは言っても、かなり時間が経ってるのだが」
「むぅーーー」
千尋は今までずっと、アシュヴィンのみつ編みを結っていた。
だが、千尋の選定は厳しく、少しでも気に入らないことがあればやり直している。
それを先ほどから散々繰り返していた。
アシュヴィンとしても複雑で、止めさせようとすると千尋は怒ってしまう。
それは避けたいので、アシュヴィンは耐えていた。
「アシュヴィンの髪って結構難しい……かも」
「だから、采女にやらせてもかまない……と」
アシュヴィンがうっかり口を滑らせると、千尋はますます険しい表情をさせていた。
「それって、私だと嫌なの?」
「いや……、そういうわけでは……」
雲行きが怪しくなり、アシュヴィンは内心冷や汗だ。
「一緒にいることが少ないから、せめてって思ったんだけどな……」
「悪かった……」
アシュヴィンの口からは謝罪の言葉しか出てこない。
だが次の千尋の言葉で、アシュヴィンは固まった。
「風早とか那岐とかは器用なのに……」
「待て、何でその2人が出てくる」
「昔、髪が長かった頃、やってもらってたことがあって……」
「2人か?」
「うん。那岐は稀だけど、風早は小さい頃は頻繁にだったな」
「………………」
アシュヴィンとしては、もう困惑するしかない。
あの2人、特に風早が千尋の髪を触れていたことにも腹ただしい。
だが、自分が風早と同じ事を出来るかは疑問だった。
「風早は上手かったのか?」
「うんっ。それはもう笑顔でね。逆に断るとしょんぼりしちゃって……」
「ああ、それは想像できるな」
「でしょう?今日はいいよって言うと『千尋はもう、俺のことが必要じゃないんですね』って」
アシュヴィンはその光景を思い浮かべると、自然と笑みが零れた。
風早の過保護ぶりはその頃から健在で、色々と世話を焼いていたに違いない。
「それが結構あとに引くから、結局はやってもらったりね」
「でもお前も風早と似たような事を言ってるが?」
「あ……」
無意識にだが、それが出ている。
千尋の一歩も譲らないところは、風早の影響かもしれない。
そんな話をしていると、千尋の表情が暗くなっていた。
「ごめん……。アシュヴィン。これからは采女にやってもらったほうがいいのかな?」
「何だ?別に俺は迷惑じゃないぞ」
いきなりの提案に、さすがのアシュヴィンも驚きが隠せない。
「でも、結構強引にやってたよね。付き合わせてごめんなさい……」
「いいさ、たまにはこういう時間も必要なんだろう?それに……」
「それに?」
「こういう話は中々する機会がないからな。もっと聞きたい、お前の話を」
「私の?」
「ああ。せっかくの時間は有意義に使わないとな」
「うん」
千尋は再び、みつ編みに集中し始めていた。
アシュヴィンは穏やかな気持ちで、出来上がるのを待つことにした。
~fin~
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文月まこと
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乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
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