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乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
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ED後から数年後のお話


時間が遅くなった頃。

千尋は急ぎ、足を速めた。

「遅くなっちゃったーー。今日はアシュヴィンが帰ってくるのにっっ」

他国へ行っていたアシュヴィンが、今日帰ってくる。

仕事中の千尋はそれを人づてで聞き、急いで自分の仕事を終わらせた。

だが、予想外のことが多く、思いのほか時間がかかってしまったのだ。

「今日はせっかく……一緒にいられるのにっ」

ようやくアシュヴィンがいる寝室に辿り着き、千尋はその扉を開けた。

「アシュヴィン、ごめんっっ」

「しっ……」

アシュヴィンは、人差し指を口に当てて、静かにするように促した。

「あ……、ごめんっ」

アシュヴィンは寝台に腰掛けており、その膝には寝息を立てている2人の子供がいた。

その子供の面立ちは、千尋とアシュヴィンそれぞれに似ている。

「寝ちゃったんだね」

「ああ…。2人とも頑張ってはいたんだがな」

アシュヴィンはそう言いながら、2人の頭を撫でてやる。

2人を見ているアシュヴィンの表情は、とても柔らかい。

千尋はそんなアシュヴィンの隣に座る。

ぴったりとくっついて。

「お帰りなさい、アシュヴィン」

「ああ。ただいま」

小声で挨拶を交わすと、2人の唇が自然と重なった。

それは一瞬で、すぐに離れる。

「特に変わりはなかったか?」

「ええ。2人がアシュヴィンにすごい会いたがって、大変だった」

その言葉を聞いたアシュヴィンが、千尋の髪に触る。

「お前は?」

「え?」

「お前は俺に会いたくなかったのか?」

「……そんなの言わなくてもわかってるくせにっっ」

千尋は軽くアシュヴィンを睨みつける。

アシュヴィンには、まったく答えなかったが。

「そんな顔をするな。また口づけたくなるだろう?」

「んっ」

言うが早いが、千尋の言葉を待たずしてその唇は再び塞がれた。

「~~~~もうっ!!」

長くなりそうな口づけを、千尋は押し留める。

いくら寝ているとはいえ、子供の前だ。

行為に慣れてきても、抵抗はある。

「でも、アシュヴィンがこんなに子育てに協力してくれるとは思わなかった」

「そうか?」

「てっきり、采女や乳母に任せきりだと思ってた」

実際はそうなる筈だった。

だが、千尋は自分の手で育てることを譲らず、アシュヴィンもそれに応じた。

アシュヴィンの協力がなかったら、千尋はずっと子育てをしていただろう。

2人の子が落ち着いた今、千尋は少しずつだが仕事をこなしている。

時間が空いている時は、アシュヴィンも面倒を見ていた。

「自分の子供なんだ。当然だろう?」

「そうだけど……」

千尋がアシュヴィンを見ると、子供の頭を撫でていた。

その光景は千尋としても、大変微笑ましい…・・・。

――――が。

「千尋、何むくれてるんだ」

「え?」

「眉間にしわが寄ってるぞ」

アシュヴィンに眉間を指摘され、千尋は今気がついた。

「どうかしたのか?」

「………・…」

「言ってみろ」

口ごもってしまった千尋に、アシュヴィンは先を促す。

「だって……」

「ん?」

「…………私もアシュヴィンに甘えたいもの」

「…………」

千尋は自分の言葉に、激しく恥ずかしくなった。

自分の子供に嫉妬し、寂しさを感じてしまうなんて……。

アシュヴィンはきっと、呆れているに違いない。

「ちょっと待ってろ」

「……え?」

アシュヴィンは采女を呼び、2人の子供を預ける。

そして、千尋の元に歩み寄った。

見つめる千尋をアシュヴィンは、その腕に閉じ込めた。

「アシュヴィン?」

「お前がそんなことを言うから、触れたくなった」

「ごめんね。子供みたいで」

「いや、そんな風に言われて嬉しくない訳がない」

「っっ」

アシュヴィンは千尋の唇を奪った。

それは徐々に激しさを増していき……、気がつけば組み敷かれていた。

「ちょ……、アシュヴィンっ」

「何だ?」

「だって、アシュヴィン疲れてるのに」

「そんなことか」

「そんなことじゃなくてっっ」

自分の身体を労わらないアシュヴィンに、千尋は怒る。

「お前が俺を煽ったんだぞ」

「…………なっ」

「安心しろ。寂しさなど感じさせぬくらい、今日は付き合ってやる」

「……っ」

千尋はもう、顔が紅くなって言葉が出ない。

その隙に、アシュヴィンの顔が再び近づいてくる。

半ば諦めた千尋は、ゆっくりと目を閉じた……。







~fin~


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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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