乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
熊野にて。
「二ノ姫・・・・・・」
「な、何っ」
「お前、馬鹿だろう」
「なっ!!!!」
アシュヴィンの言葉に、千尋は黙るしかなかった。
それは遡ること、数十分前のこと。
「遅いぞ、二ノ姫」
「わかってます」
千尋たちは、移動のため森の中を歩いていた。
だが、霧が出てきたため他の仲間たちとははぐれてしまっていた。
そして今は、アシュヴィンと2人。
合流するために急ぎ歩いていたのだが・・・。
「・・・っ」
「二ノ姫?」
千尋の様子がすこしおかしい。
元々歩みは速くはないが、先程よりも鈍った気がする。
ならば―――。
「・・・・おい」
「?何、アシュヴィン?」 「ちょっと来い」
「え、え、え?」
アシュヴィンは千尋の手を引くと、近くの木陰に座らせた。
「ちょ・・・何するの!」
「いいから黙ってろ」
アシュヴィンは千尋の足元に視線をやる。
その足を持ち上げた。
「っっ!!」
その瞬間に鈍い痛みが走る。
「やはりな。赤くなってる」
千尋の足は歩きすぎたために、赤く腫れていた。
「どうして言わない」
「だって・・・。ただでさえ、遅れているのに・・・」
「だからといって、放置してれば後々戦場に響く」
「・・・・・・・・・」
アシュヴィンの言葉は、千尋にのしかかる。
その言葉は正論で重い。
千尋が思わず俯いてしまうと、アシュヴィンが・・・。
「悪かった」
「え・・・?」
思わぬアシュヴィンの謝罪に千尋は固まる。
「お前はこういうことに慣れてないんだったな。俺の配慮が足りなかった」
「でも、これは自分のせいだし・・・」
「一緒に行動している以上はそれに気づくべきだ」
「アシュヴィンのせいじゃないわ!!」
千尋は自分の力が足りないことを恥じた。
アシュヴィンの行動は正しいのに、自分の不甲斐なさが彼に迷惑をかけている。
「これは自分が招いた結果だから。早く・・・行きましょう」
そう言って、千尋は立ち上がり、再び歩き出す。
その背中を見て、アシュヴィンは。
「・・・・・・・・全く気の強い女だ」
守られているだけでない千尋に、アシュヴィンの興味は一層増した。
そして、アシュヴィンも再び歩き出す。
先程よりもゆっくりに。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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