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乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
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ED後。 バレンタイン話。


日の仕事が終わり、空も暗くなり時間が経った頃。

ようやく、アシュヴィンが寝室へと戻ってきた。

「お疲れ様。アシュヴィン」

「ああ。ただいま」

千尋が声をかけると、アシュヴィンは優しく返してくれる。

その表情には疲労が現れている。

「大丈夫?無理してない?」

「多少はな。まだまだ、常世を再興させるにはやらなくてはならないことが多い」

「……うん」

「それでも、確実に前進はしてるから、心配するな」

アシュヴィンは千尋の頭を撫でていた。

「アシュヴィン……」

「お前は顔に出ていて、わかりやすい」

「……そうかな」

「けど、俺のことを心配してくれるのは素直に嬉しい」

「……!」

優しく笑うアシュヴィンに、千尋の胸が不意に高鳴った。

気を遣う筈が逆に気を遣われてしまっている。

(これじゃダメ!)

アシュヴィンの疲れを癒してあげたいのに、その相手に気遣われている。

「あの……アシュヴィン……」

「何だ?」

「今日、お菓子を作ってみたんだけど……」

「菓子?」

千尋の突然の言葉にアシュヴィンは驚いた。

しかも、妃である千尋が作ったと言う。

「もしよかったら食べてくれる?」

「ああ」

千尋が自分のために作ってくれたのなら、断る理由もない。

千尋はいそいそと、お菓子を取りに行った。





「はい、アシュヴィン」

綺麗に包装された箱をアシュヴィンに渡す。

その包みを開けると、お菓子が入っていた。

アシュヴィンはそれを手に取り、口に入れる。

「甘い……な」

「ダメだった?」

「いや、たまにはこういうのも悪くない」

普段はあまり甘いものを口にしないが、千尋の作った物は別だ。

いや、千尋が作ったから、尚更甘く感じるのだろうか?

「しかし、急にどうしたんだ?菓子を作るなんて」

「え……と。それは……」

千尋は何やら言いづらそうにしている。

「何かあるのか?」

「疲れた時には甘いものがいいかと思って……。それに…」

「それに?」

千尋は更に言いづらそうに、顔を紅くさせている。

「前にいた世界ではね。好きな人に贈り物をするんだよ」

「……」

「お菓子をあげて、告白する日があって……」

千尋はそれ以上は続けられずに、顔を手で隠した。

その様子はいかにも、顔から湯気が出そうになっていて……。

「成る程な」

聡いアシュヴィンは、千尋の言おうとしていることがわかった。

そしてその意味を理解して、意味ありげに笑っている。

「お前が俺に告白とな……」

「……」

千尋は少しだけムッとして、その視線から逃れようとする。

けれど……。

アシュヴィンは千尋の手を取って、自分の方へと向けさせる。

「拗ねるな」

「だって、、アシュヴィンが……」

悪いのに、と続けようとして言う事が出来なかった。

アシュヴィンが千尋の口に、お菓子を入れたから。

「~~~~~~~っ」

千尋が口に含んだお菓子のため、何も言う事は出来ず、その視線だけをアシュヴィンに送る。

アシュヴィンには何も応えていない様子で。

「何か言いたそうだな」

そう言ったアシュヴィンが、今度は自らの口で千尋の口を塞ぐ。

「っ!!」

その口付けは深く、千尋の中へと入ってくる。

「~~~~~っ!!」

しばらくしてから、アシュヴィンは千尋を解放する。

気がつけば、その口の中の物は無くなっていた。

アシュヴィンを見ると、口を動かしている。

「あ……アシュヴィン……。今……」

千尋がそれ以上何も言えずにいると、アシュヴィンは……。

「何だ。お前が何か言いたそうだったから、手伝ったまでだが?」

「!!!!!」

アシュヴィンの言葉に千尋は、その身体を震わせている。

そして……。

「アシュヴィンの馬鹿ーーーーーーーーーーっ」





そんな声が城中をこだましていたらしい……。



そして皇は妃の機嫌を取るために、必死だったそうな……。







~fin~





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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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