乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
ED後。千尋の望みとは…。
「アシュヴィンッッ!!あの、待って」
「いや、それは無理だな」
千尋は迫り来る危機に、焦っていた。
特に命の危険がある訳ではないのだが、違う意味で危険だった。
千尋は寝台の上におり、そんな千尋をアシュヴィンが覆いかぶさっている。
千尋の身体を挟む様にアシュヴィンの腕があり、目の前には本人。
逃げ場が全くない状況に、千尋は焦る。
「ちょっと待って。アシュヴィン」
「何故だ?夫婦ならば当然の事だろう?」
そう言うとアシュヴィンは、衣服から見える千尋の右膝にそっと口付けた。
「……っ。ちょ……待って」
だが、アシュヴィンは一向に止める気配がない。
その行為に、千尋は本格的に焦った。
「ま、待って……てばっ!!」
「ぐっ……!!」
千尋が止めて欲しくて身体を動かすと、その足が大きく動いた。
それにより、千尋の膝に口付けていたアシュヴィンに蹴りが直撃する。
「あ、ごめんっ」
「……千尋。皇を蹴るなどお前くらいだぞ」
「わざとじゃないってばっ。大体、アシュヴィンが話を聞かないのが悪いんでしょ」
「……」
アシュヴィンは行為を中断させられた事に、少し不機嫌だ。
だが、それで怯む様な千尋ではない。
「話を聞いて欲しいの」
「何だ。言ってみろ」
アシュヴィンは不機嫌になりながらも、一応は千尋の話に耳を傾ける。
ここで千尋を怒らせても、特になるようなことは一つもないからだ。
「だって、せっかく2人きりなんだよ?」
「ああ」
「だからもうちょっと……、こう……」
「何だ?」
千尋は何か言いづらそうにしている。
その理由がアシュヴィンには全くわからない。
「その……。いきなり、そういうことをするんじゃなくて。もう少し話をしたいというか……」
「話?」
千尋の提案に、アシュヴィンは思い切り面を食らった。
いまいち、千尋の望んでることがよくわからない。
「中々2人になれないし、もうちょっと色々話とかしたいなって。もっと……、そのアシュヴィンのことを知りたいっていうか……」
「俺のことを?」
「そうだよ!!アシュヴィンの事、まだよくわかってないことだって多いし!!」
「そうか?」
つまり、千尋はもっと自分の事を知りたいらしい。
「だから、話をしたい……と」
「うん……」
千尋は自分で言っていて、少し恥ずかしくなってきた。
本人を目の前に、言うのは些か照れる。
だが、妻として夫の事を知りたいと思うのは当然のことだ。
ただでさえ、アシュヴィンは秘密主義だから。
千尋の言葉にアシュヴィンは負けて、その願いを叶えてやる。
「お前の言いたい事はわかった……。それで、俺の何が知りたいんだ?」
「えーと、その」
改めて言われると、少し困る。
だが、ここで負けては、結局いつもの通りに身体を重ねるだけになってしまう。
「その、好きなものっとか。好きな食べ物とか。いつもどんなことを考えているのか……とか」
「好きなもの……か」
「うんっ」
アシュヴィンは千尋の手を取り、そっと口付けた。
「お前……だと言ったら?」
「っっ!!」
「それにお前は甘いしな。いつ、その身を欲しても」
「っ!!!」
アシュヴィンの言葉に、千尋は何も言えない。
顔が真っ赤になり、頭の中は真っ白で何も浮かんでこない。
「どうすれば、お前を悦ばせる事が出来るか。いつもそればかり考えて……」
「…………っ」
「お前を昂ぶらせる事が出来るのは、俺だけだしな」
「もーーーーっ、馬鹿ーーーっ。黙ってーーーっ!!」
千尋は近くにあった枕をアシュヴィンに投げつける。
アシュヴィンはそれを交わしつつ、不思議そうな顔をしている。
「お前が言えって、言ったんだろうが」
アシュヴィンの言葉は本気で、だからこそ始末に置けない。
「だって、そんな恥ずかしいことばかり……」
「本当のことだ。俺は嘘は言っていない」
「…………」
真顔で言うアシュヴィンに呆れるべきか、怒るべきか……それすらもわからない。
それでも……わかることは……。
「千尋」
「……んっ」
アシュヴィンが名を呼ぶだけで、千尋の鼓動が高鳴った。
不意に口付けが落とされる。
アシュヴィンには最初から敵わない。
それだけだ。
それだけで、全てを許してしまいたくなる。
「もー。しょうがないなーー」
「何がおかしい」
「内緒」
突然笑いだした千尋に、アシュヴィンは首を傾げた。
けれど、怒っているわけではない事に安堵する。
「……で。話の続きはいいのか?」
「もう……知らない」
千尋は負けた気持ちになりながらも、ゆっくりと目を閉じた。
アシュヴィンはそれだけで意を得て、再び口付けを落とした。
~fin~
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プロフィール
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文月まこと
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女性
自己紹介:
乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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