乙女ゲーム・八犬伝などの二次創作のごった煮ブログです。
5~6章の間。
何の因果か・・・、アシュヴィンたち一部の常世軍は、中つ国と行動を共にすることになった。
真の敵を見据え、二ノ姫の言葉で天鳥船に乗ることになっていた。
追っ手を撒き、夜が更けた頃。
アシュヴィンは船の散策をしていた。
いくら共にいるとはいえ、ほんの数時間前までは敵だった者。
万が一に備え、船を調べていた。
(ん・・・ここは庭か)
そこは堅庭と聞いた気がする。
船の中に庭があるというのは、一体どういう仕組みなのか。
そしてよく見ると、そこには誰がいた。
(二ノ姫か)
戦場で短くなってしまった髪だが、金色は夜でも目立つ。
だが、その様子はどこかおかしい。
(…何だ?)
千尋はじっとその場で立ち尽くし、一方の景色を見つめている。
(・・・泣いてるのか?)
その瞳から、雫が流れ落ちるのが見えた。
小さな肩を震わせ、1人で泣いている。
(兵士たちの死を悼んでるのか・・・)
アシュヴィンはその事に、自分の胸も痛んだ。
助けたかった命を助けれず、犠牲が出た。
だが、それは戦では感情を表に出してはいけない。
――どんなに辛くても。
そんな現実をあの少女は、1人で耐えている。
叶うならば、その身体を抱きしめて涙を拭いたい。
だが・・・。
「千尋」
「・・・風早」
静寂を破ったのは、自分ではない1人の男。
姫はその男に身を寄せて、泣きじゃくっている。
「・・・っ」
アシュヴィンは、自分の手を思わず握り締めていた。
やりきれない想いを、そこに表すように。
(・・・俺は何を考えている・・・)
アシュヴィンはすぐにその場から離れていた。
想いを胸に秘めながら。
~fin~
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文月まこと
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乙女ゲーム・八犬伝中心に創作しています。萌えのままに更新したり叫んでいます。
同人活動も行っています。
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